Theatrum

創作の引き出し。創作途中の話もあるので、突然文章が変わる事があります。

甘戯◆01

川には死体が転がっていた。先の合戦による死者だろう。武者の格好でないものもいた。逃げる途中か、村を襲われたのか…。その中に息のある娘がいて、それを持ち帰った。

娘を拾った者といえば忍雅衆の組頭であった。

 

娘にはもともと親がなく、村でひっそり暮らしていたという。元の村に戻る理由もないので、ここで暮らしたいと申し出ていた。娘が保護された逢魔ヶ島では孤児が多く世話をされていた。


数年間、娘は勉学と共に処世術や戦闘技術・暗殺技術を叩き込まれた。というのも、平和なのは島の中だけで、ひとたび島を出れば敵しかいない。

 

島を守る為に忍雅衆が駆り出されては数を減らしていたが、島を乗っ取られることはなかった。島の住民は怒りを抱いていても復讐戦はせず、毅然としていた。島の代表が復讐を良しとしなかったのだ。その代わり自分達の島を守る為に絶対的な武力と索敵能力を見せつけ、強化していったのだ。