Theatrum

創作の引き出し。創作途中の話もあるので、突然文章が変わる事があります。

Diosa◆02

☣️ぐっ…ぐ、ぅう…

 

◆◇◆

 

天帝!また死人が出ました!

☣️なんだ。またか?

今月に入って10を超えました!!

あの少女が来てからというもの!おかしなことばかり起きています!天帝、どうか!どうかご判断を!!

☣️アレはディオサに任せてある。

しかし!

☣️そんなにいうなら証拠を出せ。アレが諸悪の根源だという証拠を私に見せてみよ。たとえ違ったとしても、民を安心させてやらねばならん。

はっ!!

 

◆◇◆

 

☣️ディオサ。例の洞窟は?

🧸はい。おっしゃられていた通り、割れた球体がありました。あの少女が入れるほどの大きさでした。

☣️ふむ…。確実だな。

🧸何かご存知なのでしょうか?

☣️魔蔵、天蔵、地蔵…。三蔵の力をとても強く受け継いで生まれる子どもが稀にいる。そういう子どもは力をコントロール出来ず、周りに迷惑をかけて歴代の天帝や近衛隊に殺されてきた。お前達が厄災と言っていた伝承だ。

🧸キウレが?…数日共に過ごしましたが、危険なように感じられません。

☣️それはお前だからかもな。お前は近衛の中でも優れた魔導士。アレの力に恐れを感じる事もないのであろう。

🧸はぁ。

☣️だいたい、アレらは厄災ではなく、力のコントロールを上手く教えられていないからと考えた者もおったようで、指導者を育てる為にも近衛隊を作ったという。

 

そして三蔵の子にはそれぞれ、魔蔵は耳から首に第3の目・天蔵は腰から足に尻尾・地蔵は腕から背中に翼の模様が浮かんでいる。アレは翼を背負っていたから地蔵…つまり土から生まれる。

 

◆◇◆

 

☣️おい。

🎀あ!偉そうな人だ!

☣️…。1人で何をしている。ディオサはどうした?

🎀仲間の人に連れられてどっか急いで行ったよ。なんかまた人が殺されたって。殺すのはダメなことなんじゃないの?

☣️そうだ。殺生はゆるされん。しかし、何故こうも続くのか…。原因があるはずだ。

🎀げんいん?

☣️お前はアンノリンを知っているか?

🎀アンノリン?なんだっけ?聞いたことあるけど。

☣️ディオネを動かしている機械だ。

🎀そうだそれ!

☣️あれが原因かもしれないという話があった。

🎀なんか、ソレ確か頭いいんじゃなかったっけ?

☣️だからおかしいのだ。お前、行って確かめてきてくれるか?

🎀えー!僕わからないよぉ!?

☣️これをアンノリンに放り込むだけだ。

🎀それならできるかも。これなに?

☣️薬だ。

🎀薬?

☣️風邪をひいているようなものだからな。それを治す。それと、アンノリンは会話ができる。奴は今壊れているから、何を言ってきても耳を貸すな。

🎀分かった。なんか可哀想だな…。

☣️だからその薬で治すんだろ?

🎀…うん!そうだね!やってみるよ!

☣️このことは誰にも言ってはならんよ。

🎀え!?なんで?

☣️アンノリンはディオネの宝で頭脳だ。アンノリンが壊れたなんてみんなが知ったら大混乱だからな。今よりもみんなが困るだろう。

🎀…分かった!内緒にするね。

☣️あぁ。よろしくな。

 

キウレはダマラと別れてすぐにアンノリンがある部屋に入った。以前ディオサと訪れた時には、入り口に監視の者がいたが、この時には誰1人いなかった。

キウレは特に疑問を持たず、アンノリンに近づいた。

 

アンノリン🎙あなたは私にとって危険な物を持っています。

🎀危険じゃないよ。お薬だって言ってた。

🎙誰から受け取りましたか?

🎀あ、誰も言ってないよ。僕が薬になるなぁって思ったの。

🎙誰から受け取りましたか?

🎀ち、違うってば!ほら、具合悪いの直してあげるよ。

🎙危険なことはやめてください。

 

何を言われても意に返さず、キウレはアンノリンに"薬"を放った。

 

◆◇◆

 

数日後

殺人が減った代わりに病が流行るようになってしまった。身体の痛みを訴え始め、数日後には身体の穴という穴から血が溢れて死んでいく。原因不明で対処が追いついていかない。

 

🧸天帝!分かりました!!

☣️原因か?

🧸マナの大量吸収が原因です。通常量より多くマナを吸収した者が、体内で処理しきれずに破裂するように血を吹き出していたようです。

☣️マナの大量吸収だと?

🧸マナのコントロールができない者はほとんど死にましたが、ナルガ一族が吸収してなんとか持ち堪えている者もまだおります。

☣️なるほど…。

🧸マナが大量に滞留している原因もわかりました。

☣️なんだ。

🧸アンノリンが暴走し、マナを大量に吐き出していました。アンノリンの管理者全員が殺されており、数日の間管理されないままでした。その間マナを大量放出していたとのことです。

☣️…そうか。アンノリンの管理が出来るものは?

🧸いません…。

☣️いないだと?1人もか!?

🧸アンノリン関係者はことごとく殺されていました。

天帝!アンノリンを壊したのは凶事の娘です!

🧸なんだと!?

☣️どういうことだ?

アンノリンが混乱しながらもメッセージを出しました。"キウレ"と。

🧸そんな馬鹿な!!キウレがアンノリンを壊してなんになる!?

しかしアンノリンは間違いなくキウレと言いました!

☣️…。

🧸天帝、何かの間違いです。確認してきます!

☣️待て。事実がわかるまで、キウレを深層牢屋に入れておけ。

🧸天帝!!

☣️もしやつが原因であれば、逃がすわけにはいかない。違えば出してやれば良い。さっさと見つけ出して牢屋に入れろ。

は!

🧸天帝!

☣️黙れ。さっさと事実確認をしてこい。

 

◆◇◆

 

☣️アンノリンの様子はどうだ?

🧸復旧の見込みはありません。複雑に絡み合った糸みたいです。

☣️…。生き残った者達を地上に下ろす。

🧸え!?

☣️マナコントロール出来る者しか生き残れまい。そして、地上には脅威がある。マナが扱えない者だけではそれもまた生き残れまい。だから全員地上だ。

🧸ディオネはどうなりますか?

☣️俺が残る。アンノリンを直した後、お前達をまた迎えよう。

🧸天帝。

☣️今すぐ指示を出してこい。アンノリンは俺がみる。

🧸他に方法はないのでしょうか…。

☣️…無いだろうな。

🧸…分かりました。

 

◆◇◆

 

その間、石版都市にて生き残っている奴らをダマラがまた何人か殺す。

牢屋から脱出したキウレがキレてダマラを窮地に追いやる。

腕から背中にかけて有った模様は炎の翼となって、空を飛んだ。

周りにいた者達も殺してしまう。

ダマラ間一髪、石版都市から落ちて地上へ降りた。

ディオサ、キウレを気絶させて能力制御装置を付ける。

石版都市に残ったのはディオサ・アンノリン・キウレ。

アンノリンが全てをディオサに話す。

理由はどうあれ、やってしまったことに変わりはないので、罰としてキウレは石版都市から出る事を許されない。

数ヶ月後、復活したダマラによってディオサが殺され、キウレは翼をもがれ、石版都市から突き落とされる。

キウレを助ける為にディオサが隙を見せてしまい、ダマラに殺される。離れぎわにディオサはダマラの心臓に杭を刺した。ダマラはまたも瀕死だったがなんとか死なずに済む。マナコントロールの元である心臓に杭がある為、不安定になる。マナが常に垂れ流れる様になった為、ダマラは常に吸収してなくてはいけなくなる。

キウレの身体は無事だが、ダマラの攻撃の衝撃で記憶が消えてしまう。

ダマラ、アンノリンに悪い思考を植え付け、遺伝子操作の実験を行わせる。

過去、少女を騙して細工をされた事を踏まえて、アンノリンはダマラに気付かれない様な救難信号を出せるようにしていた。また、難解な回路を組んで作業がスイスイ進まない様にした。

そうとは知らないダマラは満足して地上に降りる。

アンノリンはキウレに助けてもらう事を待ち続ける。

キウレは記憶を無くして地上を彷徨う。

マナが減り身体を保てなくなったディオサは近くにいたノウムに乗り移り、記憶を無くしたキウレと共に身体を戻す旅に出る。