Theatrum

創作の引き出し。創作途中の話もあるので、突然文章が変わる事があります。

劇場◆第四章◆02

⚛️勢いで出て来ちゃった。
🌟出られてよかったな。
⚛️ん。
🌟その頑固はどうにもならないのか?
⚛️…ならないかなぁ。
🌟じゃあもっとその性格とうまく付き合っていきなよね。
⚛️…うん。
🌟…住む場所なんだけどさ。
⚛️うん?今日はとりあえずホテルかなと思ってる。
🌟ホテル?金あるの?

⚛️そーだ…ないんだった。

 

⚔️いたいた。ミラくん?
⚛️あ、オーナさん。
⚔️今独り言喋ってなかった?
⚛️いえ?
⚔️そうか。
⚛️オーナさんて精霊見える?
⚔️んー、見える時と見えない時があるな。認識できた精霊はいつでも見えるんだろうなと思ってる。
⚛️んん?
⚔️名前知ってるとか、顔を覚えたとか、知り合いになった精霊は見えるけど、その他は見えないって事。
⚛️へー。
⚔️ミラくんは見えるの?
⚛️…あなたと同じです。
⚔️ふーん。精霊は力の使い方を教えてくれるから助かってるんだよね。
⚛️戦闘の技術も?
⚔️いや、言い方悪かったね。マナの使い方だよ。魔導は精霊から教わる、なんて事も言うみたいだしね。君も精霊に魔導を教わってるんでしょ?
⚛️そうですね。
⚔️良かったら今度俺にも紹介してね。
⚛️本人が良いと思ったら勝手に出てくると思いますよ。
⚔️だろうね。精霊は警戒心強いからなぁ〜。
⚛️私、アカデミーには入りません。
⚔️あぁ。さっきは勝手にアカデミー入りたいみたいなんていってごめんねー。孤児院出るのが目的だったなら理由は何でもいいかなと思って。
⚛️まぁ、出れたので問題ないです。ありがとうございました。
⚔️これからどうすんの?
⚛️オーナさんは魔導師の知り合いいますか?
⚔️あぁ、アカデミー専属の魔導師がいるよ。
⚛️その人と話しがしたいです!
⚔️ん、アポとったらいいよ。1000人待ちだけどね。
⚛️せ!?
⚔️勇者御一行の一人だからねー。
⚛️あー…そうでしたか。
⚔️アカデミー生ならもっと楽に会えるけどね。
⚛️…、院長の言う通りで、私は組織に所属出来ないです。
⚔️なんで?
⚛️チームプレー無理だし、一人で行動する方が好きだから。
⚔️はははw早死にするな。
⚛️む。
⚔️いいんじゃない?選択するのは君なんだ。早死にしたいならそう言う考えでいなよ。
⚛️1日で精霊魔導をコントロールしました。他のことだって同じように
⚔️そんな甘いもんじゃないよ?ちょっと外に出ただけで危険地帯だからね。ある者は片目を失い、ある者は片腕を失い、ある者は体半分が麻痺して動かなくなった。これはまだ優しい方。精神を侵されて妖魔化して家族を殺したり、操り人形みたいに大切な人を殺させられ続ける奴もいる。人類は奴隷の対象でもあるしね。
⚛️…、
⚔️魔導が扱えるからって恐れて何もしてこないなんてことないんだよ。相手は常に理解の範疇を超えてくる。そう言うやつらへの対処は、経験とそこからくる直感だ。
⚛️…。
⚔️まぁまずそんな経験は出来ない。目の前にした瞬間に死ぬからねっ。
⚛️うん、それはそれ、死んだらそれが私の人生だったと言うことです。
⚔️ん?ふふふ、結構脅したんだけどな。
⚛️頑固だから。
⚔️きみ?
⚛️はい。
⚔️ふふ、やっぱり早死にしそうだ。これ、俺の紋章が入ったピンを渡しておく。俺はアカデミーにだいたい居る。これを見せて入っておいで。
⚛️…じゃあ、貰っておく。ありがとう。
⚔️今夜は?
⚛️ホテルに泊まる。
⚔️ホテルゥ?お金あるの?
⚛️…。

⚔️良かったらうちくるか?

⚛️え。

⚔️引かない引かない。

⚛️こ、

⚔️ん?

⚛️今夜だけ…お願いします。

 


⚛️なんか虚しい。
🌟これから金貯めればいいだろ。

⚛️んー。
🌟普通知り合ったばっかのやつに紋章渡さないよな。
⚛️え、これ?これなに?
🌟しらねーのか。持ち主オリジナルの紋章が入ったピンで、持ち主の弟子って意味がある。
⚛️弟子!?
🌟まぁ身内だよってのを表すような物かな。マナも含まれてるから虫除けになるんだ。
⚛️えー。そんなの渡されたらご恩返さないとじゃん。
🌟お前そんな事考えて生きてんのか。めんどくさいやつだな。
⚛️そうだよ。
🌟…友達少ないだろ。
⚛️外面は良かったから普通にいたかな。
🌟どうだか。
⚛️いいんだよそれは。清算したんだから。これからはテオとまた作っていくから。
🌟俺にも都合ってもんがあるんだけど?
⚛️それは相談ください。わがままだけ言う私じゃなんだから!
🌟そーかよ。

 

 

⚔️よぉ、一回アカデミー見ておいたらどうだ?

⚛️んー、そうですね。

⚔️俺は仕事だからアカデミーには行けないけど、場所わかるよな?

⚛️はーい。

 

🏵わっ!
⚛️大丈夫?ごめん見えてなかった。
🏵いえいえ!僕からぶつかってしまったので、すみませんでした!
⚛️アカデミーの子?
🏵まだ入学してないです!
⚛️そうなんだ。遊びに来たの?
🏵うううん。ミラって人を探してるの。
⚛️ミラ?ハートネット?
🏵そう!知ってる!?
⚛️いや、知らないや。
🏵なんだぁ、また探さないと。
⚛️探してどうするの?
🏵アカデミーを案内したかったの。
⚛️へー。私も始めて来たから案内してもらいたいなぁ〜
🏵あ、いいよ!案内しながらミラ探そうかな!
⚛️うん。よろしくー。


🏵アカデミーは専攻に分かれていて、勇者・魔導師・戦士がある。勇者は魔導師と戦士両方の修練を積むんだ。
⚛️ふーん。誰が教えてるの?
🏵最初は勇者マルカと魔導師ヒナと戦士ガンゾと戦士バフラが教えてたよ。その教え子達が育ったから今はその人達が教えてる。初代達は相談役みたいな感じ。
⚛️へー。キミ…あ、名前なんていうの?
🏵ミズキ!
⚛️ミズキはどの専攻に入りたいの?
🏵勇者!
⚛️てことは魔導使えるの?
🏵へへ…使えないんだぁ。
⚛️あ、そうなの?
🏵だから戦士にしかなれないんだぁ。
⚛️戦闘のプロになればいいんじゃない?
🏵…うん。そうだね、
⚛️…。
🏵お姉さんは誰かとアポ取ってるの?
⚛️いや、取ってないんだよね。
🏵じゃあ案内は終わりだね!
⚛️ありがとう。助かったよ。
へへへー!!
♠️ミズキ〜、また人に迷惑を掛けてるのか?
🏵違うよ!案内してって言われたからしてたんだから!
⚛️案内をお願いしました。この子はしっかり説明してくれました。
♠️そうでしたか。よくやったな。
🏵ふふふ。僕のお父様だよ。
♠️どうも。マルカです。
⚛️は、じめまして…ぇ?お父様?
🏵うん。
⚛️ミズキくんのお父様は勇者かぁ…。
♠️アカデミーには入らないとオーナから聞いてる。見学かな?
⚛️あ、はい。実際に見てから決めようと思って。
♠️そうか。どうだった?
⚛️んー、まだよく分かりません。
🏵え、僕の説明良くなかったかな…
⚛️そういうことじゃなくて…
♠️必要性を感じなかったんだね。
⚛️…。
♠️ここが全てではないからね。納得いくものを自分で見つけていくといいよ。見つけにくい分大変だろうから、頑張りなよ。
⚛️はい、どうも。
マルカさん、ヒナさんが呼んでましたよ。
♠️分かった。じゃあ…

⚛️あのっ、石版都市に行く方法を知りませんか!?

🏵石版都市?遺跡に?

⚛️はい。行ってみたいんです。

♠️行く方法は2つある。空からか、地上からか。

⚛️2つ…

マルカさん。

⚛️どうやって!?

♠️ごめんね。時間がないからまた今度。失礼するね、ミラさん。
🏵え?ミラ?ミラハートネット??

 

 

 

⚛️テオ、2つの方法思い当たる?
🌟んー、翼生やして飛ぶか、転移魔法陣描いて行くか…かなぁ。
⚛️転移魔法陣は2つの魔法陣が繋がってないと意味ないよね?
🌟だな。
⚛️えーじゃあ両方共今すぐは無理じゃん。
🌟時間かければ可能なのか?

⚛️不可能はないでしょ。

🌟ふっ。期待してまーす。

 

⚔️お。アカデミー来たのか。どうだった?

⚛️違う感じだった。

⚔️ははっ。違うかぁー!そんなお前にいい話を持ってきたぜ?

⚛️なに?

⚔️アカデミーみたいなところは他にもある。

⚛️え!?なんで隠してたの?

⚔️隠してたわけじゃないんだが、ここから離れたところにあるからな。

⚛️どこにあるの?

⚔️遊間だ。

 

 

遊間を目指して歩くとすぐに妖魔が襲ってきた。身につけたばかりの魔導で負傷しつつもなんとか回避する。

 


負傷した傷が激しく痛みだし、膝を付く。

😈その痛み、とってあげようか?

だれ!?

😈君の名前を教えて?

人など見当たらなかった森の中で突然現れた人物。柔らかい笑顔を向けてくる男の後ろには怪しい気配が感じられた。

男の申し出を断り続けると、みるみるうちに表情を変え、更に痛みを与えてきた。

😈痛みだけじゃつまらないから、絶望的な気持ちにさせてあげる。どうやらキミは凄まじい呪いにかけられてるね。

呪い?

😈心臓に何か刺さってる。そのままにしてると死んじゃうね。

テオの手助けもあって男を追い払うことができたが、悪魔の言葉に動揺を隠せないミラ。

フラつきながら湖に近づく。痛む傷口を湖に浸す。

 


不思議そうな顔でミズキを眺める妖精。

🧚‍♀️死んじゃうの?

え?

突然話しかけられた相手が小さくて驚くミラだが、食いつき気味で質問してくる妖精にノせられて答える。

🧚‍♀️なんで死んじゃうの?

知らないよ。勝手に言ってただけだし。

🧚‍♀️心臓見せて見せて?

は!?やだよ!

🧚‍♀️見るだけ見るだけ!

妖精はミラの胸に耳を当てた。

🧚‍♀️…金の…針…

金の針?

川に落ちた時のことを思い出すミラ。

🧚‍♀️見たことあるよ。ね?

🧚‍♂️あるある。

え?どこで?

🧚‍♀️石版!

🧚‍♂️遺跡!

石版遺跡?

🌟石版都市じゃないか?

🧚‍♀️🧚‍♂️そうそれ!

テオ知ってるの?

🌟1000年前に滅んだ遺跡だ。空に浮いていたらしい。

空に?

🧚‍♀️石版都市の天帝にも刺さってたよ。

🧚‍♂️覚えてる覚えてる。

なるほど…。石版都市行きたい。

🧚‍♀️それよりテアトルムだよ。

🧚‍♂️そっちの方が早いよ

🌟テアトルムってなんだ?

🧚‍♀️遊間にある学園!

学園?アカデミー?

🧚‍♂️違うよ。学園!

🌟どう違うんだよ。

🧚‍♀️全く違うよねー

🧚‍♂️見てみればいいじゃんねー!

行き方知ってる?

🧚‍♀️知ってる?「知らなぁい」「あっち!」

妖精に引っ張られて辿り着いたのは小さな洞窟だった。

「ここ?…あれ?」

気づくと妖精は消えていた。

 


薄暗い森の中、急に淋しさがこみ上げてくる。この洞窟の先に何があるのか…ここでじっとしているくらいなら洞窟に入った方が…

忘れていた傷がまたズキズキ痛み始める。

「どうした?」

緑色のとんがり帽子を被ったドワーフに話しかけられた。

「そこに入らないならどいとくれ。ワシそこに入りたいんだ」

「この洞窟はどこに繋がっているんですか!?」

「知らんね。君の望むところに出るじゃろ。」

そう言って洞窟に入って行ったドワーフ

「チミ、この洞窟初めて?」

行ってしまったかと思えばヒョイと顔を出してくれた。

「初めて…ていうか、森で迷っちゃって…ッ」

「怪我をしてるのかい?どれ、見せてみ。」

懐から薬のような物を出して塗ってくれた。

「少しすれば痛みは引くじゃろ。ただし、痛み止めじゃからな、医者に診てもらえよ。」

「ありがとう。」

「うん。じゃあな。」

「あ!あのっ」

「そうじゃ、チミ、この洞窟初めて?」

「はぁっ、はい!初めてです。」

「そうか、この洞窟はな、本来なら存在しない曖昧なものなんじゃよ。簡単には絶対現れぬ。チミのような魔導師やワシみたいなもんが呼び出せるんじゃ。」

「魔導師…」

「そうじゃ。洞窟は望む場所に繋がる。だからワシが入ったらちょっと間を置いて入れよ。ワシの望む所に出ちまうからな。」

「分かった。ドワーフさんありがとう」

「いいよ。チミは素直でいい子だからさ、お節介したくなっちまった。ははは」

笑い声が洞窟の奥に消えていく。

痛みが引いてきた…、淋しさもちょっと無くなった…

「そろそろ、いいかな。」

 


意外と狭いな…

最初は歩いていたのに、中腰になりついには四つん這いで洞窟を進んでいる。

「もしかしてドワーフさんの所に繋がってない?」

ハッとして止まるミラ。

「行きたい所、行きたい所、遊間遊間…テアトルムテアトルム…」

目を瞑り、言葉に出して念じてみる。

すると、何かに引っ張られるような、呼ばれるような感覚がした。

「…よし。」

再度気を引き締めて洞窟の先を目指す。

 

 

 

「何にも見えない。」

行き先を定めてから10分程して何も見えないくらい真っ暗になった。行くか戻るかの道しかない洞窟を、ひたすら暗闇に向かって進み続けている。

「いでっ!…ッた~、何かに当たった!これは…」

洞窟の端に辿り着くと、そこにはドアのようなものがあった。

「ドアのぶは無いのか…。どうしよう。……」

 


トントン

 


おもむろにドアをノックしてみる。

 


「すみませーん。テアトルムに行きたいんです。開けてくださーい。」

 


トントン  トントン

 


ガチャ

 


「開いた!?」

「おや?見ない顔だね。いや、誰の顔も覚えてないんだけどねっあはははは」

茶色いローブを着た鼻の長い、元い鼻の高い白黒の毛深い生き物が豪快な笑い声で出迎えてくれた。

「さぁ、遊間へようこそ。少女。」

「遊間…」

優しい色の家々、活気のある市場、美しく吹き出す噴水の周りには陽気に歌う者や楽しく語らう者達…。

「わぁ…」

「すげぇだろ?ありゃ王国さ。国王様が居るんだぜ?そりゃ当たり前か!あはははは」

振り返ると洞窟の入り口は無くなっていた。

「あぁ、通路は閉じちまったぜ?後がつっかえちまうからなぁ。お、キタキタ!」

ミラが出てきた扉とは違う、立派な装飾が施された扉が現れた。

「よぅ。見ない顔だね。いやっはっはっはっ!!」

「あの、なんで私のと扉の形が違うの?」

「じゃあなー。あ?そりゃ同じ扉なんていっこもねーさ。て少女、マジで新参者かい。」

「うん。初めて来たんだ。」

「そーかいそーかい!ようこそ!あんた見たところ魔導師だね?魔導師があんな小さい扉から出てくんのは初めてだ。はっはっはっ」

「さっきの豪華な扉から出てくるの?」

「一概にそうとは言えねーがな。あんた、心細かったんじゃねーのか?異次通路は感情に反応するからよ。」

「感情に?」

「おう。通路を通ってる時どんな気持ちだった?」

「…森で迷ったり、悪魔にあったり…。テアトルムに行きたかったんだけど…確かに心細かったかも…」

あん?テアトルム探してんのか?それならこっから北にずっと進めば見えてくるぜ。

そうなんだ!ありがとう!

 


やぁ、サシュレ。差し入れを持ってきたよ。

白髪に綺麗な紫色のメッシュがかかった猫目の女性がドアを開けてくれた生き物に話しかけた。

よぉ!いつもあんがとなぁ~!はっはっはっ!

おや、新しい子?

「あ、こんにちは。

「こんにちは。ミナトです。

ミラです。

「ちょーどいーじゃねーの。そいつテアトルムに行きたいんだとよ。連れてってやったらどうだ。

「そうなの?

「はい。テアトルムに行きたくて。

「いいよ。入園資格は?

「えっと、たとえば?お金?

「少女ぉ~テアトルムの入園資格は金じゃねーんだよぉ~そんなことも知らねーで来たのかぁ?

「え?

マナだよマーナ!

あ、それならあります!いくらでも!

いくらでもはねーだろ。

なら大丈夫。じゃあ行こっか。サシュレまた何か持ってくるね。

おー!さんきゅーなぁ~

サシュレさん、ありがとうございます!

おー、頑張れよー。

 

 

 

 

 

 

どこでテアトルムの事を?

森で迷った時に、妖精から聞きました。学園だってことしか分からなかったけど。

テアトルムはねぇ~魔導・実技・ライフスキルを身に付ける為の学園なんだよ。身に付ける事が目的じゃない子もいるけど~…一種の保護施設かな?

孤児院みたいにですか?

んー、子どもだけじゃないかな。

はぁ、…?

もし君がテアトルムで暮らしたいなら歓迎だよ。その時は入学金が必要だけど。

…分かりました。

話しながら歩いていると、一軒の店の前に着いた。

さて、テアトルムに入る前にこの水晶を手に持って。

ここがテアトルムですか?

ここは入り口だよ。エントランス。

エントランス…?

はいコレ。

はい。

ここにマナを注いでみて。

はい!

半透明の水晶の中に黒と赤の渦が発生した。その中に金色の光何かもあった。

女性はミラを見つめて静かに微笑んでいる。

ど、どうですか?

「ふふ、良い色だね。キミはこれから大変だろうけど、どんな事があっても諦めないで進みな。

「え?

「さぁ、ここがテアトルムだよ!

わぁー!……ん?

赤い布がいくつも垂れ下がった門をくぐり、店に入ると普通の店だった。

この先この先。

いらっしゃーい。ミナトまた新しい子?

うん、ミラちゃん。よくしてやってね。

あいよー。

よ、よろしくお願いします。

俺はルコ!よろしくぅ~今仕事中だからさ、後で顔だしてくれたら案内するよ!

ありがとうございます!

その奥がテアトルムだよ。

店の入り口と同じ門に、今度は黒い布がいくつもかかっていた。その門をくぐると、

おぉー!!

赤と濃い紫を基調とした中華風の建物が連なっていた。遠くには見張り台のような高い建物や、王様が住んでいそうな立派な建物まで。

こっちだよ。まずは在籍カードを作ろう。

あ、えっと、その前に。

その前に?

学園長さん?ですかね、そういう人に挨拶しないと…ですよね?

あぁ。大丈夫だよ僕がそれみたいなもんだから。

えっ!?だから色々…えぇ!?

ふふ、さぁこっちだよぉ~。

 

 

 

思えばここまで来るのに色々あった。

いきなり死にかけたと思ったら魔導が使えるようになって、15年間一緒に過ごした家族と別れて旅に出て、初っ端から森で迷子になる。

性格の悪い嫌味な笑顔の悪魔に攻撃されるわ、気分悪くされるわで最悪だった。

でも可愛い妖精達に元気を貰って、小人さんに親切にして貰って、遊間でも色んな人に助けて貰った……さっきミナトさんも言ってた。これからが大変なんだ。頑張ろう。

 

 

遊間は湖に囲まれた土地に在り、

東西に分かれた道と繋がっている。

東へ行くと悪魔の巣食う迷いの森がある。

西へ行くとイバラの生い茂る地獄道がある。

容易ではないが通れなくもない。

命を1つや2つ落とすだけだ。

 


大変な思いをせずとも遊間を通れば簡単に北へ進める。通行証があればただ通り過ぎることが出来る。しかし遊間には珍しい特産品や湯屋がある。通り過ぎるだけでは後悔する。

 


先生。

ん?新入生のミラ。なんだ?

🧐説明口調だ。

私はサシュレさんが待つ場所に異空間移動してたどり着いたらしいのですが、それはどういうことなんですか?

あぁ。お前は異空間の入り口を見つけられたんだな。

🙄異空間の入り口?

通常のルートは先程説明した通りで、他の道といえば空を行くか湖を通るかだ。しかし、魔導師は別の方法を取ることもできる。それが異空間移動だ。

🧐ミラさんに出来たという事は僕達にも出来るという事ですか?

出来る。異空間移動は体力とマナが多く必要だ。よって、移動中に体力かマナどちらかが切れれば異空間に取り残されてしまう。

えぇーー!?

帰れるんですか?

帰れない。異空間は無数に存在する不安定なものだ。それを保持し続けるためにマナが必要で、安定させるために体力が必要なんだ。

🙄ミラさんよく無事でしたね。

🥴それだけマナも体力もあるんだねぇ。

実は、最初は身長より大きな洞窟だったのに、先に進むにつれて通路が狭くなっていったんです。最後はハイハイで進みました…。

それは体力かマナどちらかが減っていったからだな。

なるほど…サシュレさんには心細かったんだろって言われました。

暗い顔だったんじゃないか?体力をつけた方が良さそうだな。

はい!

だがまずは異空間移動する為の入り口を探し当てる技も必要になってくる。ミラは自分で探し当てたのか?

偶然洞窟を見つけたんですが、私より先にドワーフさんが通りました。

なるほどな。ドワーフは鉱石を採掘する為に様々な場所へ訪れる。ドワーフが開けた異空間の入り口だったんだろう。

へ~。

お前達はまだ入り口を作り出す技術もマナも体力もないから、興味本位で異空間移動しないように。死ぬからな。

ひぃ…!

異空間移動については大丈夫か?

は~い!

 


よーし続けるぞぉ~

遊間には元奴隷や人類など様々な種族がたくさんいる。戦闘能力の無い種族には生き辛いのが現実だから、そういう種族にとって遊間は安心できる場所となっている。

ちなみに私は緋奈ひな族だ。ハカセは博識な好能こうの族だな。

🧐はい!

チョウノは飛流ひりゅう族か。

🥴そうです!

🙄チョウノ飛べるの?

🥴まだ飛べないよ。飛ぶ為にここに来たんだぁ。

情報収集は基本だ。テアトルムには何の種族がいるのか各々で調べるように。ただし、無闇に話をするのは危険だから、気をつけるように。

はーい。

 


テアトルムを管理しているのはDiosa。遊間も管理している。

ミナトさんが次々と客を招き入れたことで住民が増えた。

しかしDiosaもミナトさんも何もしてくれなかったので、住民は生きる為に知恵を絞った。

ミナトさんの魔導具を量産する者が出て魔導具が特産品になった。

ミナトさんの本棚にあった薬草図鑑を読み、様々な薬湯を作り出す者が出て湯屋が出来た。

これといって特技の無いものは自らを商品にし出し、湯女が現れた。

そうして出来たのが遊間である。

贅沢は出来ないが最低限の生活が出来るようになった。

 


これが遊間の成り立ちだ。お前たちがここで学べるのも、Diosaが受け入れてくれたことに起因する。感謝の気持ちを持ち、自分に何が出来るのかを探して生きるように。

はーい。

先生、遊間の外には何があるんですか?

 


カーンカーンカーン🔔

 


時間だ。それについてはまた明日にしよう。授業は終いだ。

ありがとうございました。

はい。ありがとうございました。

🧐セイ先生

どうした?

🧐Diosaは何で人類達を受け入れたのでしょうか。

気まぐれだろう。受け入れた訳ではなく、勝手に入り込んできたまま放置していたと聞いた。

🧐はぁ…冷たいんだか優しいんだか分からないですね。

Diosaは気ままだ。振り回されないように心を広く保つといい。

🧐はい。

 

 

劇場◆第四章◆01

👤わぁー!凄いすごーい!
👤藍領て初めて来た。
👤私は旅行が初めてだよ!
👤それはみんな同じでしょお?
キャッキャッ

 

👩🏻‍🏫藍領は緑豊かで水が綺麗な場所。桃の木が有名です。環境が良く流れる時間がゆっくりに感じる程で、住む人も穏やかになり争い事が少ないという話を聞きます。
🔮でもマナの泉をカミビトが守ってるって聞いたから、争いが無いことはないんじゃ無いの?
👩🏻‍🏫そうですね。マナは魔導や精神力の源ですから、私利私欲の為に狙うものもいます。しかし、カミビトの力が強いので、争いが起こる方が珍しいのですよ。
🔮ふーん。
👩🏻‍🏫想像するのが難しいでしょうね。一度住んでみると良いかもしれません。
👤じゃあ孤児院をここに移そうよ!
👩🏻‍🏫そ、それは良い考えですが…そんなお金うちにはありません…。
👤じゃあこんな旅行じゃなくて移転の為にお金貯めればよかったのに!
👩🏻‍🏫それは…
🔮バーカ。こうやって旅行に来れたから移転したいって感想持ったんだろ?今の一連の会話だって、ここに来なきゃ行われなかったことだぞ。
👤んー、確かに。
🔮はーバカ。
👤バカって言うなよ!ムカつく!!
👩🏻‍🏫こらこら、喧嘩はいけませんよ。ミラありがとう。
🔮いや、別に。ねぇ先生、あの浮いてるのは何?

👩🏻‍🏫あれは石版都市遺跡というらしいです。

🔮都市?ヒトが住んでるの!?

👩🏻‍🏫住んでいたのは1000年前の話で、伝染病が流行って殆どが亡くなったらしいわ。

🔮へぇ…伝染病て?

👩🏻‍🏫原因は分からないみたい。伝染病とだけ伝えられてるわね。

🔮ふーん…。
👩🏻‍🏫では、少し自由時間にします。この公園の外には出ないように。14時に集合です。

 


👤あれ、ジュリは?
👤さっきの桃の木が気に入ったみたいでスケッチしてるよ。
👤相変わらず陰気臭いやつ。
👤芸術家だよなー

 


🔮…石版都市遺跡かぁ。行ってみたいな…。
❄️綺麗だね。
🔮わっ
❄️驚かせてしまったか、ごめんね。素敵な絵だから話しかけたくなってね。
🔮ど、うも。

 

🌐髪と瞳が白い…どっかの種族かな?

 

❄️よくここで描いてるのかい?
🔮いえ、旅行できた記念に。
❄️旅行かぁ!どうだい?藍領は。
🔮…桃の木が印象的です。
❄️ここでしか咲かない木だからね。
🔮咲かない…?
❄️うん。桃の木はテアトルム全域に生える木なんだけど、花を咲かせるのは藍領でだけなんだ。
🔮なんで?
❄️んー、なんでだろうねー。
🔮知ってるんでしょ?
❄️ふふ、残念ながら知ってるわけじゃ無い。こうだったらいいなと思って、僕が勝手に解釈してる考えなんだよね。
🔮それでもいいから知りたい。
❄️んー、人に言うとなると恥ずかしいね。
🔮…もうすぐ集合時間なんです。
❄️分かった分かった。…環境にね、左右されるんじゃないかと思ってる。
🔮環境…?
❄️菫でもなく、紅でもない。藍だから咲くのは、藍にしかないものがあるから。
❄️藍にしかないもの…それは

🌐突然の強い風にジュリが描いていた紙が飛んでいく。

🔮あ!待ってっ!

 


🌐追いかけて勢いよく坂を下るミラは、バランスを崩して川に落ちてしまう。

 


🔮モガッ…ググッ…!!
突然の事に取り乱し、水の中で暴れ体力を消耗していく。身体は徐々に沈んでいき、呼吸が持たなくなると気を失った。

 

 

チチッ……チチッ…

 

 

耳障りな音に気づいて目を開けると、目の前には大きな球体が浮かんでいた。

🌐息ができないっ!?

 

再びもがくと、今度は息のできる場所へ移動する事が出来た。息を整えてあたりを見る。先程みた球体の下には水が噴出されており、水が球体の底に溜まっているように見えた。
ミラは藍領の川からそこに流れ出たのだと考えていた。


視線を上に移すと、より大きな球体がその上に浮かび、更に上にも噴水に触れている球体と同じ程の大きさのものが浮かんでいた。
それぞれの球体の周りにはひし形のキラキラしたものがいくつかあり、球体を囲むように浮いていた。
周りに光が無く暗いのに対し、この球体群は青白く光り、神々しさを感じた。

 


🌐綺麗…

 

 

見惚れていると、漆黒の大きな手に掴み取られた。

 

得体の知れないそれは、ただただ恐怖と苦痛を与えてきた。あぁ、このまま握りつぶされて死ぬんだと。しかし不意に身体の苦しみは消え、白い光に包まれる。

白い光と漆黒のそれらは、ジュリを静かに見た。ジュリもそれらから目を離せなかった。恐怖と好奇心で思考回路はぐちゃぐちゃだった。
赤い光が見えた。ジュリの身体を貫通していった。(これが呪縛)痛みはなかったが…ジュリの意識は徐々に薄れていった。

 

⚪️院長のところへ飛ばす。
⚫️さっさとしろ。

 

🌐聞き取れる…院長…?

 


👩🏻‍🏫…ッ!…リッ!!ジュリっ!!
🔮ガハッ!!?
👩🏻‍🏫はぁ!良かった、起きたのね…。もう…ダメかとっ…!
🔮溺れて、た?
👩🏻‍🏫ええ。近くにいた親切な方が飛び込んで助けてくださったのよ。
👤白髪に白い瞳、服も白くてピンクのラインが特徴的だったわ!
👤お前相変わらずだな。
👤イケメンだったもの!
👤そんなことよりお前、院長ずっと泣いてたんだからな!心配させんなっ!!
🔮ご、ごめん…
👤泣いてたのはお前もだろ。
👤うるせー!泣いてねー!
👩🏻‍🏫今日は、もう宿に戻ります。みんなしっかり休むのですよ。
👤えー。
👤文句言わないの。院長気疲れしてるんだから。
👩🏻‍🏫あなたは…いつもごめんなさい。
👤え?ごめんなさい!
👤お前も院長に気を使わせてちゃまだまだだな。
👤むぅ。

 


宿屋にて。

 


🔮ん…ぐっ…はぁ、はぁ…しらは…?
🔮いないのか…うっ…うう、苦しいっ熱い…

🌐なんだろうこれ、身体から溢れてくる、頭が割れそう、身体が熱い、死んじゃうのかな。

🔮のど…渇く…ハァハァ…

❄️コレ、お飲み。
🔮ぁ…え…?
❄️昼間はどうも。気になって来たんだけど、マナが漏れ出してるよ。
🔮マ、ナ?
❄️とにかくこれ飲んで。
🔮ん、コク…コク…
❄️おへその下に意識を集中して。渦を描くようにグルグルと。
🔮ハァハァ…つ、
❄️出来ないと破裂して死ぬよ。
🔮死…!?
❄️ほら、
🔮ハァハァッ!
❄️そう、そしたら右手に移して。右手の平から流れ出すように。

白髪の青年の言う通りに意識すると、ジュリの右手から青白い光が出てきた。

❄️これがマナだよ。普段は目に見えないけど、しっかり練り込むとこうして具現化する。苦しくなくなるまでこれに流し込んでいきなさい。
🔮ん、くっ!ハァハァ…ハァハァ、
❄️もういいの?
🔮…コクン
❄️じゃあこれは僕が処理しとくから。
🔮それっ、なに?
❄️これはマナを凝縮したもの。このまま放れば衝撃波になる。この宿屋なら木っ端微塵だね。
🔮え、あなたの手は!?
❄️僕はマナの扱いに慣れてるから平気だよ。
それより1つ、忠告。普通、マナを許容するのに限界があるのに対し、君はなんらかの影響でマナ容量に限界が無い。その為マナを受け入れ続ける。
🔮な、なにそれ、マナって…意味わかんないよ!
❄️受け入れ続けると今みたいに身体が耐えられずパンクする。そうなる前に適度に放出した方がいい。簡単に言えば魔導を使ってマナを身体に溜めないようにしろってことだね。
🔮魔導?やったことないよ。教えてよ!!死にたくない!
❄️キミ、今日だけで二回助けてるのにまだ望むの?強欲だねぇ。あと一回だけなら聞くよ。僕にまだお願いする?
🔮最初の二回は勝手にやったんだろ!?頼んでないよ!
❄️言ってたよ。タスケテって。覚えてないだけでしょ?
🔮嘘つけ!でっち上げてるだけだろ!
❄️ふふ、落ち着きなって。そろそろ右手が疲れてきたよ。下ろしても、いい?
🔮!?だ、だめ…
❄️どうする?
🔮……誰にも迷惑かけないところに持って行って…
❄️僕に魔導を教わらなくていいの?
🔮お前なんかに教わらなくてもっ、自分でなんとかするから、いい!
❄️ふふ。分かった。じゃーまたね。
🔮…っ!!

 


🔮どうしよう

 

 

🔮院長…
👩🏻‍🏫あらジュリ。どうかしたの?
🔮…ぇっと
👩🏻‍🏫ん?
👤院長せんせー!
👩🏻‍🏫サヤ。いつも元気一杯ねー
👤みてこのお花可愛いでしょー!!
👩🏻‍🏫そうねぇ!机に飾ったらどうかしら?
👤それナイスー!花瓶ちょーうだい!
👩🏻‍🏫今ジュリとお話ししてるから、花瓶はパタヤさんに聞いてね。
👤えー!!
🔮いいよ。私はまた今度で。院長行ってあげて?
👩🏻‍🏫…そう?
🔮うん。
👤やった!ありがとジュリっ!
🔮ふふ。院長、図書館に行ってくる。
👩🏻‍🏫分かったわ。遅くならないようにね。
🔮うん。


🌐変な心配させるより、自分で出来るところまでやってみる。

 

--------------------------------------------------

🔮魔導…魔導…と、結構あるな。

 

 

📕魔導の使い方が書いてある本?
🔮はい。
📕君、魔導士か?
🔮違います。興味あって。
📕ふーん。子どもの遊びにしては危険じゃないか?
🔮遊びじゃないです。し、知り合いの、命に関わることだからっ。
📕そういうのは衛兵か医者に言いなよ。子どもがなにしたってどうにもならないだろ。
🔮もう言ったよ!それでもじっとしてらんないんだよ!
📕…ふーん。ま、私には関係無いから、良いんだけどね。付いておいで。

 


📕この棚は魔導系の本が多いよ。小説ばっかりだけどね。
🔮…どうも。
📕ごゆっくり。
🔮なんか熱くなっちゃったな。恥ずかし。落ち着けぇ…よし。探そ。

 

🌐たしかに小説ばっかり。使い方って探し方がいけないのかな。いつ身体の限界が来るかもわからないのに…早くしないと、ん?

 

『白い人』

 

🔮…迷ってる暇ないよな。

 


生きとし生ける全ての者にマナは在る。
マナは適度に身体を流れ、抜けていく。
多くても少なくてもいけない。
マナを自在に操る者を魔導士という。
魔導士は遺伝ではない。
いつ誰が成るかは白い人次第。

 

 

🔮白い人、ね。

 


🌐ヘソの下に集めて、グルグル螺旋を描く…っ、出来たら手に流していって…ハァ、少しずつ…、放出っ!!

 

出来たマナの凝縮体を空に向かって投げると、勢いよく破裂した。

 

🔮うわっ!?ハァハァ…
🔮結構辛いなぁ、でも、あれ以来あの時みたいに熱くなってないから…、ひとまずこれでいいんだよ、ね…ハァハァ、

 

👤ジュリー?
🔮へ?
👤あ、いたっ!夕食の時間だけど、何やってんの?凄い汗。
🔮う、運動?
👤へー。珍し。
🔮また溺れないように体力つけようと思ってさ!!
👤あー。あんまり無理すんなよ。
🔮うん!さ、夕食いこいこ。

 

 

ガサッ

 

-----------------------------------
魔導師は精霊魔導、藍魔導、紅魔導を操る。
精霊の力…即ち火・水・風・土を操る魔導。
治癒を強化する魔導。
破壊を強化する魔導。

 

 

⚛️うーん、精霊魔導かぁ。
⚛️水をコントロールしてみようかな。

 

 

🌐湖の水をコップに入れる事を目標に!
練りこんだマナを水に浸ける。
衝撃で弾ける。
イメージと違った…。

 

🌐火を操って形を変えてみる!
練りこんだマナを火に…
衝撃で弾けて木に燃え移った。
慌てて湖からマナの衝撃波を打ち、水を飛ばして火を鎮火。


🔮火事になるところだった…。

🔮魔導のイメージが衝撃波でしかないんだけど。お腹に貯めるのがもう違うのかな。てから出すのも違うとか?意味わからん。

 

👤ジュリー?夕飯だよー。
🔮おー。

 

 

ガサガサ…

 

-----------------------------------
🔮なんでうまくいかないんだろう。素質がない?
🌟魔導は精霊に教わるんだよ。
🔮精霊?
🌟高密度なエネルギー集合体、って言われてる。
🔮キミ?
🌟そうだね。
🔮?
🌟もうっ!察し悪いなぁ!教えてあげるって言ってるのに!
🔮どうして?
🌟はぁ!?
🔮だって都合良すぎでしょ。こんなの運が良いって話じゃない。誰かの企みか、精霊のイタズラか、幻術かなにかだね。
🌟考えすぎだよ。
🔮はっ!

 

グサッ

 

🌟え!?何してんの?
🔮幻術を解こうと思って。
🌟君…馬鹿だねぇ…、
🔮防衛本能だよ。知らない人について行くなって言うでしょ。
🌟だからってそこまでする?じゃあ魔導使えるようにならなくていいのね。
🔮む。
🌟何でヒト種の君が使えるのか興味あったんだけど。君にその気がないならいいよ。じゃあね。
🔮待ってよ。教わらないなんて言ってないじゃん。
🌟でも警戒してるんでしょ?
🔮それは…
🌟どーでもいいけどその傷、血出し過ぎて死んじゃうよ?
🔮やばっ!
🌟はぁ…

 

ポワァ…

 

🔮なに!?
🌟治癒だよ。見たことない?
🔮わぁ!はじめて見た!!治癒って、精霊魔導じゃないでしょ?なんで精霊の君が?
🌟精霊魔導は基礎。紅魔導と藍魔導が使えてこその魔導士だよ。
🔮へ?精霊じゃなくて魔導士なの?
🌟精霊で魔導師なの。どうでもいいよそんなこと。ほら治ったよ。
🔮…すごい。
🌟じゃあね、お馬鹿さん。
🔮ま、待って待ってよ!!
🌟何だよっ!
🔮お、怒らないでよ。
🌟怒るさ!悪人呼ばわりされたんだよ?
🔮悪人なんて…言ってないじゃん。
🌟じゃあなに?悪魔か何か?
🔮ごめんて。ごめんなさい。
🌟…。
🔮魔導を、教えてください。
🌟…ふーんだっ。最初っからそう言えばいいのに。
🔮じゃあ!?
🌟分かった分かった。教えるよ。
🔮ありがとう!!

 


ガササッ

 


-----------------------------------
🌟水ってどんなイメージ?
🔮どんなって…透明、液体、掴めない…とか?
🌟そう。魔導にはそういうのが大事なんだ。目の前にない物を作り出すようなものだからね。
水の特徴をイメージしながらマナを練ってみな。練り方は分かる?
🔮おへその下あたりで螺旋を描く?
🌟そう。やってみて。
🔮……っ、
🌟力み過ぎ。水を触るイメージで。
🔮ふぅ…サラサラ…チャピチャピ…ドボン…
🌟何言ってんの?
🔮話しかけないで集中してんだから
🌟はいはい。あ、いいじゃんその調子。
🔮あーーーーー!!!!!
🌟あーあ。
🔮話しかけないでいでよぉー!!
🌟練り込みが未熟な証拠でしょ。ほら次。
🔮むー!お手本見せてよ!
🌟だ、だからイメージが大切なんだって。見ちゃったら俺のイメージ強くなっちゃうだろ?
🔮そんなこと言ったって分かんないんだもん。

 

👤ジュリー!昼ご飯!!
🔮え?もうそんな時間?

🌐精霊隠れたのか…やばい、名前聞いてなかった。

 


🌟……。
📕おい、なんですぐ連れてこなかった?
🌟怪しまれてたからでしょ。
📕だとしても教えてやる必要はないだろう。
🌟なんとなくね。
📕夜になる前に連れて来い。ボスに伝えておくからな。
🌟へーへー。

 

 

👩🏻‍🏫ねぇジュリ?
🔮ん?
👩🏻‍🏫シラハに勉強教えてあげて欲しいんだけど。
🔮いいよ。いつ?
👩🏻‍🏫今から3時間くらい。
🔮え!?そんなにぃ?
👩🏻‍🏫あの子、テキストを頂いたのに全く勉強出来てないらしくて。あなたの教え方が一番いいんだって我儘言ってるのよ。最近良く出かけてたでしょ?
🔮あーはは…でもなんで3時間?あいつそんなに集中出来ないでしょ。
👩🏻‍🏫正直な話、あと3時間で里親さんが様子を見にいらっしゃるから、頭に叩き込んで欲しいの。
🔮…はー。仕方ないか…。
👩🏻‍🏫ごめんなさいね。おやつ奮発するから。
🔮わかった、分かったから、院長は里親さんの対応よろしくね。あいつ、やっとここ出れるかもなんだから。
👩🏻‍🏫ええ!そちらは任せといて!
🔮ん、じゃあ後でね。

 


🌐今日はもう森に行けないな…。
あいつに伝えたいけど、連絡方法ないな…

-----------------------------------
翌日

 

🌐液体、サラサラ、濡れる、ユラユラ、波紋、反射、屈曲、透明……出来た。

 

🔮はぁー!疲れる!!

 

サァ…
風がそよぐ

 

🔮あいつ…来ないのかな。

 

ザサァ…

 

🔮……よしっ!もう一回、わぁ!?どうした…その傷…
🌟転んだ。
🔮嘘が下手だな。隠す気ないだろ?
🌟なんで昨日来なかったんだよ。
🔮話そらすなよ!
🌟お前もだろ!
🔮それより手当を!
🌟触るなっ!

 

ブワッ!!!

 

🔮うわっ!!っぐ、

🌐突風に煽られて木に叩きつけられるジュリ。
🌟お前にちょっとでも気を許した俺が馬鹿だったんだ。手荒くしたくなかったけど、もういい。お前は所詮自分の力じゃ生き抜けないゴミ屑だ!

🔮な、んで…

🌐精霊が…泣いてた…なんで…?


-----------------------------------


☠️やっと来たか。
🌟…。
☠️オドギ、こいつか?
📕へい。毎日のように魔導についての本を読みに来てたんで、魔導士の卵かと思ってたんですが、隠れて魔導使ってやした。
☠️ふん。確かにマナの強い匂いがするな…。
📕匂いですか?おれにゃーわからねーや。
☠️下等なヒト種に分かるわけなかろう。マナの存在もおとぎ話扱いのお前らにはな。
📕おっしゃる通りで。
☠️てめーも。さっさと連れてくりゃあそんなボロボロにゃあならなかったのによ。
🌟うるせぇ。連れて来たんだ、さっさと石を返せ。
☠️馬鹿か?数が足りねーよ。
🌟は?言われた通り魔導士連れて来たじゃねーか!
☠️俺は魔導士共を連れて来いって言ったんだよぉ。1人じゃ商売にならねーだろうが。特にガキの魔導士だ。高値で売れらからなぁ、ひっひっひっひっ
🌟ざけんなっ!!!てめーらこそ下等なくせして精霊に命令してんじゃねーよ!
☠️精霊魔導の使えねーお前なんかちっとも怖くねーんだよ。さっさと次連れて来い、クソゴミが。
🔮なるほどー。だからお手本見せてくれなかったのかー。
🌟📕☠️!?
🔮綺麗な石だね。
☠️お前、いつの間にっ!
🌟俺の石だ!返してくれ!
🔮今は私の手元にあるから私のだよー?皆さんがお話しに夢中な間にちょっとねー。
🌟水…操れたのか?
🔮出来たね、昨日からずっと水の事考えてたからかな。
🌟そんな…1日で!?
☠️捕まえろ!
🔮おっと良いのかなぁ?大事な商売道具が窓から落ちて死んじゃうよぉ〜?
☠️好きにしろ小娘ならまた捕まえれば良い、
🔮えっ、そうなの!?
🌟ちっ、石に水を込めろ!!
🔮え、わ、わぁーーーーーーーー!!!!

📕☠️グガッゴボボッ!!

🌟調子に乗るなよ豚野郎どもが。茹で豚にしてやる。

☠️📕ガガボゴボボッ

🔮水の温度も変えられるのか…凄い。
🌟火の力との応用だ。
🔮ほーん?奥が深いね。
🌟…悪かったな。
🔮ふ?
🌟俺はお前を利用して自分の為に動いてたんだ。お前の言う通り悪だったって事だ。
🔮でも、それほど大事な石だったんでしょ?
🌟これが無いと魔導を上手く操れないんだ。
🔮うそぉ!それなのにあんな大口叩いてたの?
🌟あのなぁ、全く使えなくなるんじゃ無いよ?威力が大き過ぎて地形が変わる程なんだよ。
🔮ぇ、…!?
🌟500年かけてつくったから、思い入れも強いし。
🔮ご、こひゃねん!?作ったの…?
🌟精霊石だよ。知らないか?この石にマナを溜めてマナの泉へ運ぶのが精霊の仕事なんだよ。
🔮なにで出来てるの?
🌟俺の練ったマナを硬化して作ったんだ。
🔮へぇ…魔導ってそんな事も出来るんだ。
🌟精霊特有の能力だから、精霊以外はできない。
🔮なんだそっか、ぃって…
🌟お前怪我か!?
🔮へへ、さっき君に飛ばされた時のが地味に響いてて。
🌟見せて!うわ…ヒビ入ってたぞ。よく耐えてたな。
🔮ふふ。ね、聞きそびれちゃった名前、なんて言うの?私はジュリ。
🌟静かにしてろ。
🔮教えてくれないのぉ?
🌟…テオ。
🔮テオ…可愛い名前!
🌟…名前なんて聞いてどうする。…俺を縛るのか?
🔮そうだね。
🌟っ!?
🔮友達の呪縛!なんてね。また魔導を教えて?
🌟…なんだそりゃ。お前ホント、馬鹿だな。
🔮何度も馬鹿って言うなよぉ!

 

 

⚛️はぁ…疲れたぁ〜
🔵お、ミラおかえり〜。
⚛️んー。…お客さん?
🔵そ、なんかこの辺に盗賊が出たんだって。家に入られたり怪我人が出たりしてるらしいぜ。
⚛️へー。うちの孤児院に入っても金目のものないから大丈夫だろ。
🔵だな。
🔴はぁ…
⚛️なんだミサ。
🔴あの人さぁ…アカデミーの人なんだって。妖魔との戦いの日々なんだってぇ〜。
⚛️アカデミーか。強いのかな。
🔴聴いてた?妖魔相手にしてんだから強いに決まってるじゃん!
⚛️そっか。
🔴あ、ちょっとどこいくのよ!

 

ヒュッ
パシッ、ダン!

 

⚛️いって!痛い痛い痛い!!
👩🏻‍🏫ミラ!?
⚔️どういうつもりかな?
⚛️強いって聞いたから、どんな動きなのかと思ったんだよ!離してぇえええ!
⚔️院長さんにお話ししてたところなんだけど、そういう好奇心で盗賊に近づかない様に注意してねミラくん?
⚛️子どもの可愛い悪戯だってば!そんな怒る事ないだろぉ!!
⚔️ま、元気な事はいい事だね。
👩🏻‍🏫大変申し訳ありません!きちんと話しますので。
⚔️はは、子どもが元気なのはこちらが良い環境な証拠ですね。院長先生は立派に運営なさっているて、素晴らしいです。
👩🏻‍🏫いえ、そんな…ありがとうごさいます。あの、どうか子ども達の安全をお護りください。
⚔️はい。お任せください。

 


アカデミーの人退室

 


👩🏻‍🏫ミラ、ちょっと院長室へいらっしゃい。
🔵ミラもういないよ?
👩🏻‍🏫な、なんですって!?

 

 

コソ…

 

🗡オーナさん。
⚔️あぁ。…出ておいで。まだ殴り足りなかったかな?
⚛️ち、違いますよ。さっきのはホントちょっとしたやつで…ご、ごめんなさい。
🗡なんだ謝れるんだね。
⚛️む。
⚔️こら、カイラ。それで、何か用があってきたんでしょ?
⚛️あの、アカデミーてどんな事をしてるの?戦うのが強くなる?
⚔️カイラ。
🗡はい。アカデミーとは、ヒト族の安全を第一に考え、王国の繁栄の為に妖魔と戦う者達のための育成システムです。今では近隣の安全を守る警務組織としても各地で動いています。
⚛️私は、自分や周りを護れるくらい強くなりたいんだけど、出来る様になる?
⚔️それはミラくん次第じゃないかな?
⚛️…ねぇオーナさん、私に

 

きゃーーーーー!!

 

🗡なんだ!?
⚔️血の匂いだ。
🗡オーナさん!

 

げひゃひゃひゃ!!

 

⚛️盗賊じゃない!?
🗡お前なんでついてきてんだ!
⚔️あれは妖魔だな。
🗡危ないから離れてろ!

 

キン!ガッ、ドーン


妖魔とやり合うアカデミーの2人

 

妖魔の攻撃が建物を崩す、逃げ遅れた少女が瓦礫の真下に。

 

⚛️危ないっ!

 

ミラは水で少女を安全な場所へ移動させ、風で瓦礫を妖魔の所へ吹き飛ばした。

 

⚔️🗡魔導!?
⚛️大丈夫?
うぇーん!!
ササちゃん!!
ママァー!
ありがとうございます!!
⚛️早く遠くに逃げて。

 

 

🈲キミ、魔導師?
⚛️え?

 

ドッ

 

⚛️かっ

 

突然現れたローブを着た者に心臓を貫かれるミラ。

 

きゃーーーーーーーーー!!

⚔️ちっ、
カイラが刺さった赤い結晶を切り、オーナがローブの者へ斬りかかるが避けられてしまう。

🗡オーナさん!傷口がありません。
⚔️なに?
🗡さっき刺さった赤い結晶も消えました。
⚔️幻術か?
🗡いえ、そのような痕跡は無いです。
⚔️…お前のローブ、ナルガだね。この子のマナを吸ったな?
🈲ふふ。その子、マナをいっぱい持ってるね。普通なら死んじゃってる量を吸ったのに、まだ底が見えなかった…。
⚛️…ハァ、

 

突然ナルガの周りを囲むように地面から現れた土壁

 

パンッ

 

倒れたままのミラが手を叩くと同時に土壁が寄り合い、中の者を潰した。が、手応えはなかった。

 

⚛️ち、…
🗡お前、魔導を使えるのか
⚛️魔導しか使えない。相手の速さは見切れないし、攻撃を防げないし、かわせない。
⚔️人目が多い。場所を変えるよ。

 


⚛️さっきの赤い結晶…
⚔️あれはナルガ特有のマナ吸収能力だ。体に突き刺したり触れたりするとマナを取られるらしい。お前も吸われたのか?
⚛️吸われた。
🗡底が見えなかったと言ってましたね。
⚛️何のことかわからない。
🗡ていうか、この子が魔導師だって院長は知ってるんすかね。
⚛️孤児院の人達には言ってない…ていうより、今日初めて人前で魔導使った。
⚔️生まれつき使えたの?
⚛️いや、藍領の泉に落ちてから使えるようになった。
⚔️それを隠しながら修練してたと、
⚛️うん。
⚔️…はぁ、キミね、そういうのは周りに相談するもんだよ?
⚛️相談したら…巻き込んでしまう。危険だ。
⚔️🗡…。
⚛️だからっ、私は孤児院を出る。あの人達は身を守る術がない、私にはあの人達を守る術がない!正直いうと強いあなたに里親になってもらって何事もない感じで孤児院を出たかったんだけど、そんな都合よく出来ないのも分かってて…どうしたらいいか教えて!
🗡…オーナさん、ダメですからね。
⚔️んー、
🗡ダメですからね?
⚔️よし、俺が引き取ろうか。
⚛️ホント?
🗡ダメって言ったじゃないですか!!
⚔️ま、ミラくんの言ってる事は正しいし、このままこの子を放っといても危険だからね。俺が里親兼監視役って事で。
⚛️…!!
🗡僕はこの子をまだ信用できません。妖魔やノウムの手先だったらどうするんですか。
⚔️その時は俺が殺そう。
⚛️!?
⚔️違うだろ?
⚛️違う!
⚔️なら良いじゃないか。な、カイラ。
🗡はぁ、僕は知りません。

⚔️院長さんに言えば良いのか?
⚛️うん!
⚔️じゃあ日を改めて伺う事にするよ。今日はもう遅い。
⚛️!?そう言って逃げるんじゃないのか!
⚔️逃げない逃げない。今日は俺もまだ仕事が残ってるんだ。また明日な。
⚛️明日、明日だからね!
⚔️分かった分かった。

 

 

👩🏻‍🏫ミラは16歳。14歳で出ようと思えば退院することも出来たのに、何故しなかったの?
⚛️理由が無かった。自信もなかったし。
👩🏻‍🏫では、今は理由があるのですね?
⚛️ある。
👩🏻‍🏫教えてください。
⚛️教えられない。
👩🏻‍🏫…何故?
⚛️それも、教えられない。
👩🏻‍🏫…退院の決心がついたのはいつですか?
⚛️…藍領の旅行から帰ってから、少し考えてて…決めたのは昨日。
👩🏻‍🏫アカデミーの存在を知った事に関係がありますか?
⚛️アカデミーの事は前から知ってたよ。
👩🏻‍🏫ではアカデミーの方に関係が?
⚛️…違う。院長、尋問みたいに感じるんだけど。
👩🏻‍🏫そう感じるならそうなのでしょうね。
⚛️む…、院長が許可してくれなくても私は出て行きます。今までお世話になったから、きちんと感謝を伝えに来ました。
👩🏻‍🏫そうね、あなたは頑固だからね。
⚛️…ありがとうございました。院長の事、一生忘れません。
👩🏻‍🏫…。
⚛️…っ、さよなら。

 


⚔️まてまて。
👩🏻‍🏫オーナさん?
⚔️君ね、勝手に動かれたら困るんだけど。
⚛️…本当に来ると思わなかったから。
👩🏻‍🏫オーナさん。ミラが理由を言わずに退院を願い出て来ました。ご説明、頂けますか?
⚔️なんだ、理由言ってないのか?
⚛️…。
⚔️あー、つまりアカデミーに入学したいそうです。
👩🏻‍🏫アカデミーに?
⚔️実は昨日、こちらを出てから妖魔を相手にしまして、その時にこの子が危険な目に遭いました。
👩🏻‍🏫なんですって!?ミラ、何故言わないの!?
⚛️…、、
⚔️そこで自分の非力さに嘆いていましたよ。院長や友達に要らぬ心配もさせたくない、とも言ってました。
👩🏻‍🏫怪我は、していないのですね?
⚛️…してない。
👩🏻‍🏫要らぬ心配?それはあなたが決める事ではありません。私はあなたの母親同然。心配するなという方が難しい。今の様に危険な事があったと人から聞くのはとても悲しいことです。あなたがいなくなってからではこの気持ちを伝える事もあなたの気持ちを聞くことも出来ない。
⚛️…。
👩🏻‍🏫ミラ、あなたは王国騎士になりたいのですか?
⚛️違う。
👩🏻‍🏫では妖魔と戦う必要も、非力を嘆く必要もありません。アカデミーに入学する動機は何です?あなたの性格上、組織に所属することを拒むと思いましたが?
⚛️…動機は言えない。
⚔️君は嘘がつけないんだな。誤魔化してしまえばもっと楽なのに。
👩🏻‍🏫そういう子です。まさかとは思いますが
⚔️違うからね?俺がたぶらかしたんじゃないですよ?
👩🏻‍🏫そうですか。
⚛️ここに、いたくなくなったから。
👩🏻‍🏫ミラ?
⚛️理由は、この孤児院にいたくなくなったから。
👩🏻‍🏫……ミラ。いい加減にしないと怒りますよ?
⚛️本心だよ。
👩🏻‍🏫分かりました。好きになさい。あなたが理由を言わない限り、私は今後一切の補助を行いません。孤児院の者と接触する事も禁じます。
⚛️好都合だよ。荷物をまとめたらすぐに出ます。
👩🏻‍🏫何を言っているのですか?
⚛️へ?
👩🏻‍🏫まとめる荷物なんて無いでしょう。今まで与えていたものは全てここの備品です。あなたの所有物などありません。
⚛️…そうですか!では、お世話になりました!二度と顔を出さないから安心してくださいよ!さよならっ!!

 

バタンッ!!!!!

 

👩🏻‍🏫……、
⚔️あいつが理由を言わないのなら、俺からも言えません。
👩🏻‍🏫…っ。
⚔️院長、ミラは…頑固で真っ直ぐな、優しい子ですね。
👩🏻‍🏫うぅ…、あの子をよろしくお願いします。
⚔️はい。