Theatrum

創作の引き出し。創作途中の話もあるので、突然文章が変わる事があります。

逢魔ヶ島◆01

自分の住む家、薬草園、水源の確保をした菊臣はのびのびと鍛錬や研究を続けていた。


昼下がり…森の方で悲鳴がした。好奇心から近づいてみると、村がどこかの部族に襲われていた。多くは殺され、生き残った者は連れ去られ、子どもは捨て置かれて泣いていた。


部族が去った後、菊臣は食べ物がないか辺りを歩く。食べ物や使えそうな家財を持って自宅へ帰った。


その日の夕暮れ、薬草園をいじっていると、先ほどの子ども達が近づいてきた。子どもたちは血や泥がついていた。


🏵️埋めてきたのか…


子どもたちは無反応。


🏵️身体を洗え。血はそのままにしていると病気になる。


菊臣は井戸を指差して家に入る。

薬草園で採った葉を干したり炒ったりして作業を進める。ひと段落したところで眠りについた。

 

 

次の日、顔を洗いに外へ出ると、子どもたちが紐を作っていた。菊臣は少し眺めてから顔を洗いに井戸へ近づいた。

子どもの中には大きな子どもが2人おり、その2人にしたがって他の子どもはまとまっている様子だった。特に興味のない菊臣は干渉せず彼らの好きにさせていた。


菊臣は薬草園に水を撒き、外のかまどでお湯を沸かして茶を飲んだ。素材集めの為に森へ入ると、子ども達も後をついてきた。

花、木の皮、キノコ、野草などを採取して帰宅。一休みして採取したものを使って作業をする。

集中が切れたところで伸びをし、放心していると、子どもが白湯を運んできた。


🏵️茶が良かった。

サクラ:ちゃ?

🏵はぁ、これだよ。


引き出しから茶っぱを出し、鍋に放り込んだ。湯の色が変わり、香りがたった頃鍋を火から下ろしてお湯を注ぐ。器には布がかかっており、お茶っぱは布に溜まっていく。


🏵ホラ、これがお茶だよ。


近くにいた子ども達はわらわらと集まり飲み回している。頬を少し赤くして、ホッとした表情をしていた。

菊臣は自分の分を注いで家の中に入った。

 

 

次の日、顔を洗いに外へ出ると、かまどには火がつき茶が用意されていた。子どもがお茶をすすめてきたが、顔と歯を先に洗うと拒否した。顔を拭きながらフと畑を見ると、水やりされた後だった。


今度こそはとお茶を差し出す子ども。

器を受け取り一口…


🏵にがい。茶葉が多過ぎだ。


衝撃を受ける子どもを、茶を飲みながら眺めていると叫び声が近づいてくる。目をやると子ども達が何かを持って走ってきた。

どうやら昨日作っていた紐で罠を仕掛け、ウサギを獲ってきたらしい。


🏵そんなものどうする?

🏵️さばくのか?できるのか?


大きい子ども2人は手慣れた様子で捌いていく。あっという間に肉と皮に分かれたそれを鍋に放り込み、肉スープにした。

その場にいる全員が喉を鳴らして見つめている。


いただきまーす!!


菊臣も子どもも一口目を勢いよく口へ放り込んだ。


う…まず…

🏵血抜きし忘れたな…?


子ども達はげんなりしていたが残さず食べ切った。