Theatrum

創作の引き出し。創作途中の話もあるので、突然文章が変わる事があります。

劇場◆序章◆04


☣️大丈夫ですか?
⚛️…うん。
☣️何があったのですか?
⚛️…悪寒がして、
☣️まだ体力が全快じゃないのですかね。
⚛️んん。後遺症かな…
☣️一概にそうとは言えませんが、桜雅様は魔道士になられたばかりなので、体に負担があるのかもしれません。
⚛️んー。

 

突然誰かに見られている様な感覚を得て、酒場のマスターから金を頂き、そそくさと街を出た。

 

⚛️…そういえばシャラクはどうやって死んだの?
☣️跡形もありませんでしたよ。
⚛️…死んでないって事は?
☣️ありません。私のプログラムが切り替わりましたから。
⚛️そっか…、なんか。ごめんね。
☣️シャラクを殺した事についての謝罪でしたら不可思議です。あなたは正当防衛としてシャラクと戦った結果、殺した。謝罪をしたという事はあなたに非があったという事でしょうか?
⚛️正当防衛だよ!でも、殺さなくても良かったよなぁと思って…殺すつもりなんてなかったし…。
☣️シャラクは強者です。素人の魔道士が戦って勝てる様な相手ではありません。あなたが勝つなど誰も思わなかったでしょう。殺さなくても良かったなど、自惚れです。
⚛️……。
☣️あの時のシャラクは異常でした。原因は不明ですが…あの様なシャラクは見た事がありません。あなたはきっとそれ程のナニカなのでしょう。
⚛️…。

 

 

屋敷に戻り、客間だという部屋で寝た。

 

次の日からAiに教わりながら魔導を操る練習を始めた。シャラクを倒した時とは比べられない程、何も出来なくなっていた。私ではない誰かに操られていたのではないかとまで思う。


テアトルムについても調べた。
シャラク・ナルガについても。
調べれば調べる程、自分には荷が重いと理解させられる。
現実を突きつけられ、徐々に気持ちが腐っていき、食欲を失い、なんのやる気も出ないまま…部屋に篭った。
シャラク邸に来てから1ヶ月が過ぎようとしていた…。

 


☣️桜雅様、私は買い出しに行って来ます。昼食はメイドに

 

ガチャ

 

☣️あら?
⚛️…一緒に行く。

 

 

☣️部屋の外に出られるのは久しぶりですね。
⚛️ん。
☣️ふふ。初対面の時とは別人の様に暗くなられて。
⚛️現実を受け入れられない…、村に帰りたい
☣️焦らない事です。もし帰りたいなら部屋に篭っていても仕方ありません。だからこうして出てこられたのでしょう?
⚛️うん。
☣️では大丈夫です。
⚛️…うん。
☣️なにかやりたい事はありますか?
⚛️街には行きたくない。
☣️では狩りをしましょう。そして村の方々から食料を調達しましょう。
⚛️狩り?
☣️はい。肉です。ルーク、ミコ。

 

シュッ!!

 

赤とピンクがAiから出たと思うと近くにいた動物を容易く狩った。自慢気にAiの前へ動物を運んでくる。

 

⚛️え?なに?
☣️彼等は私の友人です。機動力と嗅覚に優れているので、こういった事は得意です。
🐺ミコだよ!
🐶ルークだ。宜しく。
⚛️あ、はい、桜雅です。宜しく。凄く早かった、ビックリしたよ。
🐶だろぉ!!足りなければもっと狩ってくるぜ?なぁーミコ!
🐺うん!ミコはリンゴが食べたい!
🐶えー?この辺りんごあんのかぁ?
🐺村にあるよね!Aiちゃん!
☣️ありますよ。村でも買い物をしますから、後でりんごも買いましょうね。
🐺やぁったぁー!
☣️あと、鳥を二羽ほどお願いできますか?
🐺はーい!
🐶任せろっ。
☣️桜雅様も、魔導を使って狩ってみてくださいね。
🐶おぉ、いーね!頼むぜ桜雅様!
⚛️え〜、分かった。

🐶俺たちが追い込むから、トドメを頼むよ。
🐺がんばろーねっ!
⚛️うん。

 

 

⚛️ねぇ?
☣️はい。
⚛️さっき、ルークとミコはあなたから出て来たように見えたんだけど…。
☣️普段は私の影に居ます。
⚛️影?
☣️はい。彼等は中途半端な生態を持って産まれた者達なんです。
⚛️…。
☣️そろそろ来ますよ…。
⚛️うん。

 

ガサガサ…ガサ…

 

🐶桜雅様!Ai!逃げろっ!!!
⚛️は!?

 

飛び出して来たのは動物でも鳥でもなく、ミコを脇に抱えたルークだった。その後ろには、みた事の無い醜い化け物が追って来ていた。


⚛️ノウム!?
☣️下がっててください!
⚛️何すんの!?
☣️倒します。ルーク!ミコ!
🐶おう!
🐺はい!
⚛️私もやるよっ!
☣️桜雅様は下がっててください!
⚛️あいつに炎は効く?
☣️森で炎はいけません!
⚛️じゃあなに!?
☣️下がって!
🐶おい桜雅様!風は!?
⚛️風?
🐶鋭く切る感じの!できる!?
☣️馬鹿ルーク!
⚛️やってみる。

 

ルークとミコがノウムの気を引きつけてくれている間に魔導を練りこんだが、すばしっこく動き回るので全く当たらなかった。ルークもミコも息が切れて危うい場面だったので、つい焦って、範囲を広げれば当たるのではないかと、実行してみた。

 

ノウムはギタギタに切り裂く事が出来たが…ルークに重傷を与えてしまった。

 

 

🐶いってー!優しくしてくれよっ!

☣️馬鹿野郎に優しくしてあげる必要はありません。なんですかあの指示の出し方は。
🐶だぁって実戦で魔導使った方が為になるだろうと思ってぇ!
⚛️…ごめん。
☣️ホラ見なさいっ!こうなる事は目に見えてましたよっ!
⚛️…。
🐶結果、ノウムを倒して俺らを守ったじゃねーか。範囲なんて練習すればコントロール出来んだろ?
☣️そんな簡単にお前は…ご飯抜き。
🐶えっ!?
🐺あーん!!Aiちゃんごめんなさぁい!ミコもちゃんと守れなかったのぉ!ルーくんだけのせいじゃないのぉー!ごめんなさぁい!
☣️あなたに非はありませんよ。私の指示に従っていたじゃありませんか。
🐺でもぉ…
☣️私との約束を無視した馬鹿犬がいけないんです。この話はおしまいです。さぁ、戻りなさい。
🐶うぃ〜。桜雅様!そんな気にすんなよなっ!
☣️早くお戻りっ!
🐶へいへい。
🐺桜雅様Aiちゃんまたね〜
⚛️2人ともありがとう!
☣️全く。食事の用意を手伝って来ます。湯浴みをなさいますか?
⚛️んー、まだいいや。
☣️分かりました。
⚛️んー。
☣️…。ルークも言っていましたが、失敗をしない者はいません。しかしクズ野郎は居ます。

 

ビクッ

 

☣️人に迷惑を掛けながら自分の事しか考えられない自己中心野郎と、…途中で辞めた者の事です。

 

ガチャ

 

☣️失礼します。

 

バタン

 

 

森で炎がダメなのは、木が燃えるから。多分Aiは私が魔力の量をコントロール出来ないと分かっていた。狩でコントロールを促そうとしてたんだろうな。

 

 

このままコントロール出来なければ、きっと誰かが私を守って死ぬ。それか、私の魔力で誰かを殺すだろう。

 

 

風、火、水、土のエレメントを使えるんだから、多分植物を育てたり雪を作ることも出来ると思う。ちゃんとコントロールが出来ればの話だけど。

 

出来るようになれば、利点が多い。だったらやるしかないじゃん。

 

まずは魔力の量と軌道をコントロールしたい…かな。目で見て分かりやすい水にしよう。…じゃあ風呂場のバスタブに水を溜めよう。

 

 

1回目、水が溢れて脱衣所まで水浸し。失敗
2回目、思っていたより少ないイメージで出力→少なすぎて溜まらない。失敗
3回目、2回目より多く挑戦→溜まるほどではないがコントロール出来てる感じ。プチ成功
4回目、3回目よりもう少し多く…と思ったらドパーっと出てきて脱衣所まで水浸し。失敗
5回目、ある程度から調節が難しい→繊細な調節が必要。失敗

256回目、湯船ピッタリに溜めることが出来た。成功

 

⚛️やっと…!

 

別の日…

今度は水を浮かべてみたい。

 

1回目、重すぎて浮かない。失敗
2回目、少量をすこーし浮かせた。プチ成功
3回目、量を増やしていく→ある程度から高さを保っていられなくなる。プチ成功
4回目、コントロール出来る量の割り出し。成功
5回目、コントロール出来る量で水の形を変えてる→球体・四角・紐状。成功
6回目、コントロール出来る量なら分裂させる事に成功。紐状は水の量が決まってるので長さが決まってしまうのが分かった。

 

実験を繰り返してる内に魔力の使い過ぎて気絶する事が多かったが、起きるときはいつも自室のベッドだった。

 

Aiちゃんにお礼を言ったら、自分じゃないと言っていた。じゃあ誰が…?
ルークでもないらしい。
誰だ…?