Theatrum

創作の引き出し。創作途中の話もあるので、突然文章が変わる事があります。

劇場◆第五章◆01

『魔導士なのにマナを使わない様躾られていますから、この子は全く使えませんよ〜。』


そんな売り文句を面白がった変わり者が私を買う。1人目は私をおもちゃにして遊び、飽きたらまた売られた。2人目は殺人鬼で、トドメはいつも私にやらせた。3人目は、テアトルムでも有名な暗殺者だった。

 

仕事では生き物を殺してばかりだから、家では生き物を飼ってみようと思ったらしい。マナが使えない魔導士なら、尚更哀れで世話を焼く事になるだろうと。

 

この暗殺者は整った顔立ちで、程々に女遊びを嗜み生きていた。私にはよく分からない仕事をやってよく分からない金額の収入を得ているらしい。

 

 

そんな日々に刺激を求めていたところ、仕事の関係で訪れた奴隷売り場で高額に取引されていた娘に興味を持つ。
その娘は魔導士でありながらマナが貧弱だった。魔導士はマナが無いと死ぬ。命を繋ぐ程度のマナしか持っていなかった。

 

奴隷商人の話によると、幼い頃に育てた者がマナを極力抜き続けたらしく、一定以上のマナに身体が耐えられないまま育ったらしい。

 

😈マナを持たない魔導士がどうやって生きてく?いや、奴隷に生き方なんて関係ないか…。ふむ、だが暇だし…買ってみるか。

 

 

 

 

👤あの奴隷をどこで買ったか?そんなん教えられる訳ないじゃないですか。

😈いくらだ?

👤へ?

😈情報料だよ。

👤いや、いくらヴィライザさんでもこればっかりは…。私の命に関わるもんで。

😈へぇ…じゃあその命、今から潰しちゃおっか♪

👤ひっぃ〜

 

 

 


😈ミケ。俺は仕事だから飯はメイドに言えよ。

🌀ミケじゃねーから。

😈るっせ。

バチッ

🌀いってー!!!!

 

暗殺者は意外に開放的だった。首輪だけつけて後は監禁するでもなく自由。ただし、暗殺者が喚べば勝手に召喚させられるという仕組みである。これは魔導士が使い魔を喚ぶ時と同じ方法。つまり暗殺者にとって娘はペットと同様なのである。

 

娘は自由な時間は図書館に入り浸った。マナや魔導について思い当たる節を探した。

 

😈今日はどこに行ってきたんだ?

🌀中央図書館

😈何お勉強したの?

🌀魔族の中でも悪魔は底辺だって。

😈お前ホント喧嘩売るの上手。

そう言って悪魔は、寝そべっていた娘の上に乗っかる。

🌀ぐあっ!!どけ、重い…うぐぐ、、

 

チュ…ピチャ…

 

🌀はっ!?やめろ!やめろやめろー!

 

チュ、チュ…

 

🌀ん、やだやだやだ気持ち悪っ!!

😈お前ぇなんでそんな感じないんだよ。

🌀感じないようにしてるから。

😈なんだそれ。感じずにはいられない体にしてやろうか?

🌀遠慮しますっ!

😈てかさ、気づいたんだけど、お前…ココ

🌀ん!

😈弱いよな。

🌀やめろっ!!

😈なんで??

🌀やだぁ、んん、む…ず、むず

😈おまたムズムズする?

🌀う、るさい…

😈マナをへそから注いだからへそが敏感になっちゃったんでしょ?うけるわぁ

🌀いっ!?やめろ触るなっ!

😈なんでぇ?気持ちいいでしょココ。

🌀ぃ、やめろっ…

 

ん。チュ、チュッ

 

🌀ぐぬぬっ、だぁああああーーー!!!!

😈ん〜お前いい匂いになったなぁ。

🌀メイド共が追いかけ回すんだ!

😈俺がメイドに絶対風呂入れろって言っといたんだよ。抱えるならいい匂いに限るからなぁ〜

🌀抱き枕じゃねーわ!

 


朝早くから悪魔に呼ばれて部屋へ行くと、悪魔の友達がいた。
悪魔の部下を鍛える為に戦闘のプロを呼んで指南してもらっているらしい。

 

🌀明道院、私にも教えて。

 

🎑おや?小さなお客さんだね。

 

😈これは最近飼い始めたペットだ。

 

🎑ペット?君は悪趣味だね。

 

😈褒め言葉。

 

🌀ねぇ明道院!

 

🎑あぁ、すまない、良いですよ。何を知りたいんですか?

 

🌀悪魔の殴り方!

 

🎑悪魔?はは、寝込み襲うのかな?

 

😈ウェルカムだな。ベットで待ってる。

 

🎑君は…そういう意味じゃないだろう。

 

🌀出来れば正面から突っ込んで殴りたい。

 

😈お前が突っ込むの?まぁ、俺は楽だからいいけど〜

 

🎑やめなさい。キミ、倒したいとは言わないんだね。

 

🌀いずれ倒す。まずは一発殴りたい。

 

😈一回平手打ちされてっけど。

 

🎑え?君がかい?

 

🌀あれはお前の魔力が入ってたからノーカンだ。

 

😈さいでっか。

 

🎑ははwいいね。じゃあキミも練習に参加するといい。

 

🌀ホント!?ありがとう!

 

🎑これから安心して眠れないね。

 

😈どーだかな。

 


🚬…。


🌀やめろー!


🚬…。


🌀無言で追いかけてくるなぁー!!

 

明道院にはラウという息子が一人いた。
幼いラウは、娘に誘われた鬼ごっこが楽しくて、その日からずっと追いかけ続けている。

 

🌀師範に言いつけるぞ!

 

🚬…。

 

🌀無言やめろーーー!!

 

ラウは鬼ごっこよりも娘の嫌がる顔や必死な顔を見たくて追いかけている自分に気づく。

 

😈なんだお前、ボロボロじゃねーかw

 

🌀これは鬼ごっこで…

 

😈あー息子か?

 

🌀…。

 

😈ふーん?好きになっちゃったか?

 

🌀なってない!なるわけない!だってまだ一言もあいつと会話してないんだよ!?

 

😈一言も!?

 

🌀喋れないんかな…

 

😈いやー、明道院と喋ってんの見たことあるぜ?

 


今日も鬼ごっこの末捕まった娘。

 

🌀うぅ、せめて何か言えよ…無言で追われたら誰だって逃げるんだからな!

 

そう言って涙を溜める娘。
ラウは不意にキスをした。

 

🌀…………は?

 

🚬好きだ。

 

🌀しゃ、喋った………!?

 

🚬(そっちか)俺と結婚してくれ。

 

散々嫌がらせしておいてこのクソ野郎は何を言うのかと、強烈な右ストレートを放ち逃げた。

 


🌀ん、んん…っ、

 

😈…?今日は積極的だな?

 

🌀…今日、

 

😈あ?

 

🌀羅宇にキスされた…

 

😈おっついにやりやがったか息子ぉ〜

 

🌀…なんでキスしたんだろ。あいつも私の事ペットだと思ってるのかな。

 

😈は?

 

🌀だってお前はペットだからキスするんだろ?

 

😈まぁペットだからっつーか、可愛いし?

 

🌀可愛い?

 

😈俺は見てるだけだと物足りない時に、キスしたり触ったりセックスしたりしてるぜ?

 

🌀ペットだから?

 

😈いやペットじゃなくても。

 

🌀ふ〜ん…あと好きだって言われた。

 

😈直接言われてんじゃねーかwwお前鈍い通り越してアホww

 

🌀アホォ!?何が?好きだとキスするもの?

 

😈っはwその辺も無知なのか〜。まぁ飼い主としては勝手に発情されてガキこさえてこられても困るから教えとかないとなぁ〜。あ、セックスはダメだからな。

 

🌀好きだとセックスはダメで、キスはいい?

 

😈お前からするのはダメ。

 

🌀私からするのはダメ。されるのはいい?

 

😈そう。でも俺以外は基本的に拒否れ。

 

🌀飼い主以外は拒否する…なんで私からはダメ?

 

😈そりゃあお前は俺のペットだから、お前が好きになる相手は俺が決めるんだよ。

 

🌀ふーん?

 

😈ちなみにあの息子とのつがいはダメだ。あいつは明道院のクソ息子だからなぁ。面倒が多そうだ。

 

🌀ふーん?

 

 

ある日、明道院は実家がごたついたらしく、収める為に明道院が帰る事になった。もちろんラウも一緒に。

 

🎑基礎は全て伝えました。毎日励み、鍛え続けなさい。

 

🌀はい師範…。また、会えますよね…?

 

🎑そうだね。お前が成長していればいずれね。

 

🌀はい。

 

ジリ…

 

🌀…またっ、

 

🎑ラウか。

 

🌀今日は早朝からですよ!殺気ムンムンで殺されるかと思いました!

 

🎑はっはっはっ、お前たち本当に仲良くなったなぁ!

 

🌀全然!仲良くなんかないです!

 

ザザッと背後へ回るラウ。それを軽く避ける娘。

 

(🎑2人共、本気鬼ごっこのお陰で身のこなしがグンと成長したね)

 

🚬今日はお前を攫うつもりで追いかける。覚悟するんだな。

 

🌀はっ、覚悟すんのはお前の方だよ。二度と追えなくしてやるからな!

 

🚬今日は…遊びじゃない。

 

🌀上等。

 

🎑30分後には出るからね。

 

🚬分かった!!!
🌀分かりました!!!

 


〜それから20分後〜

 


ボロボロになったラウにまたがる娘が居た。

 

🌀ふん!お前にひと泡吹かせるためにたくさん練習したんだぞ。驚いたか!

 

息を荒げながら誇らしげに言う娘。

 

🚬はぁ、…あぁ、凄いな。はぁ、はぁ、やはり…美しい。

 

🌀き、きもちわるっ!?

 

🚬お前と別れるのは実に寂しい。だが俺は跡を継ぐ為、親父の元を離れられない。

 

🌀…私は清々する。

 

🚬そうか、ふふ。

 

起き上がり息を整え、俯いたラウは見上げるように娘を見た。

 

🚬…最後に一つ、願いを聞いてくれないか。

 

🌀変なのじゃないだろうな。

 

🚬大丈夫だ。…目瞑ってくれ、

 

🌀……。

 

娘は少し俯きながら静かに目を瞑った。羅宇が近づくのを感じ、体に力が入る。

 

チュ…ちぅ……

初めて長く深いキスをした。


二人は名残惜しそうに唇を離す。娘の目には涙が溜まっていた。

 

🌀ラウ…行っちゃうの…?

 

🚬……行く。

 

🌀ふぅ…ぅっ、グズ…

 

ラウは静かに泣く娘を優しく抱きしめた。

 

 


🎑最後の鬼ごっこはどっちが勝ったんだい?

 

🚬引き分けだ。

 

🎑おや、引き分けは初めてじゃないか?

 

🚬決着がつかなかったんだ。

 

🎑…そうか。決着はつけないとなぁ。

 

🚬…あぁ。

 

🎑そういえば羅宇。

 

🚬ん?

 

🎑ミケはヴィライザの奴隷なんだよ。

 

🚬奴隷!?あんなのびのびした奴隷初めて見る!

 

🎑私もそう思うよ。ペットだと言っていたからね…気に入っているだろう。簡単には奪えないだろうね。

 

🚬あいつはいずれ倒す。その前に家督を継ぐ。そして、迎えに行く。

 

娘は見送りに現れなかった。部屋に戻り、窓の外を眺めながら名前のわからない宝珠をコロコロと転がしていた。

 

『必ず会いに来る。
この宝珠は、約束の証だ。』

 

次の日、誰も追いかけて来ない。

清々する…。

誰も追いかけて来ない。

ひとりってさびしい…。