劇場◆第四章◆02
⚛️はぁ…疲れたぁ〜
🔵お、ミラおかえり〜。
⚛️んー。…お客さん?
🔵そ、なんかこの辺に盗賊が出たんだって。家に入られたり怪我人が出たりしてるらしいぜ。
⚛️へー。うちの孤児院に入っても金目のものないから大丈夫だろ。
🔵だな。
🔴はぁ…
⚛️なんだミサ。
🔴あの人さぁ…アカデミーの人なんだって。妖魔との戦いの日々なんだってぇ〜。
⚛️アカデミーか。強いのかな。
🔴聴いてた?妖魔相手にしてんだから強いに決まってるじゃん!
⚛️そっか。
🔴あ、ちょっとどこいくのよ!
ヒュッ
パシッ、ダン!
⚛️いって!痛い痛い痛い!!
👩🏻🏫ミラ!?
⚔️どういうつもりかな?
⚛️強いって聞いたから、どんな動きなのかと思ったんだよ!離してぇえええ!
⚔️院長さんにお話ししてたところなんだけど、そういう好奇心で盗賊に近づかない様に注意してねミラくん?
⚛️子どもの可愛い悪戯だってば!そんな怒る事ないだろぉ!!
⚔️ま、元気な事はいい事だね。
👩🏻🏫大変申し訳ありません!きちんと話しますので。
⚔️はは、子どもが元気なのはこちらが良い環境な証拠ですね。院長先生は立派に運営なさっているて、素晴らしいです。
👩🏻🏫いえ、そんな…ありがとうごさいます。あの、どうか子ども達の安全をお護りください。
⚔️はい。お任せください。
アカデミーの人退室
👩🏻🏫ミラ、ちょっと院長室へいらっしゃい。
🔵ミラもういないよ?
👩🏻🏫な、なんですって!?
コソ…
🗡オーナさん。
⚔️あぁ。…出ておいで。まだ殴り足りなかったかな?
⚛️ち、違いますよ。さっきのはホントちょっとしたやつで…ご、ごめんなさい。
🗡なんだ謝れるんだね。
⚛️む。
⚔️こら、カイラ。それで、何か用があってきたんでしょ?
⚛️あの、アカデミーてどんな事をしてるの?戦うのが強くなる?
⚔️カイラ。
🗡はい。アカデミーとは、ヒト族の安全を第一に考え、王国の繁栄の為に妖魔と戦う者達のための育成システムです。今では近隣の安全を守る警務組織としても各地で動いています。
⚛️私は、自分や周りを護れるくらい強くなりたいんだけど、出来る様になる?
⚔️それはミラくん次第じゃないかな?
⚛️…ねぇオーナさん、私に
きゃーーーーー!!
🗡なんだ!?
⚔️血の匂いだ。
🗡オーナさん!
げひゃひゃひゃ!!
⚛️盗賊じゃない!?
🗡お前なんでついてきてんだ!
⚔️あれは妖魔だな。
🗡危ないから離れてろ!
キン!ガッ、ドーン
妖魔とやり合うアカデミーの2人
妖魔の攻撃が建物を崩す、逃げ遅れた少女が瓦礫の真下に。
⚛️危ないっ!
ミラは水で少女を安全な場所へ移動させ、風で瓦礫を妖魔の所へ吹き飛ばした。
⚔️🗡魔導!?
⚛️大丈夫?
うぇーん!!
ササちゃん!!
ママァー!
ありがとうございます!!
⚛️早く遠くに逃げて。
🈲キミ、魔導師?
⚛️え?
ドッ
⚛️かっ
突然現れたローブを着た者に心臓を貫かれるミラ。
きゃーーーーーーーーー!!
⚔️ちっ、
カイラが刺さった赤い結晶を切り、オーナがローブの者へ斬りかかるが避けられてしまう。
🗡オーナさん!傷口がありません。
⚔️なに?
🗡さっき刺さった赤い結晶も消えました。
⚔️幻術か?
🗡いえ、そのような痕跡は無いです。
⚔️…お前のローブ、ナルガだね。この子のマナを吸ったな?
🈲ふふ。その子、マナをいっぱい持ってるね。普通なら死んじゃってる量を吸ったのに、まだ底が見えなかった…。
⚛️…ハァ、
突然ナルガの周りを囲むように地面から現れた土壁
パンッ
倒れたままのミラが手を叩くと同時に土壁が寄り合い、中の者を潰した。が、手応えはなかった。
⚛️ち、…
🗡お前、魔導を使えるのか
⚛️魔導しか使えない。相手の速さは見切れないし、攻撃を防げないし、かわせない。
⚔️人目が多い。場所を変えるよ。
⚛️さっきの赤い結晶…
⚔️あれはナルガ特有のマナ吸収能力だ。体に突き刺したり触れたりするとマナを取られるらしい。お前も吸われたのか?
⚛️吸われた。
🗡底が見えなかったと言ってましたね。
⚛️何のことかわからない。
🗡ていうか、この子が魔導師だって院長は知ってるんすかね。
⚛️孤児院の人達には言ってない…ていうより、今日初めて人前で魔導使った。
⚔️生まれつき使えたの?
⚛️いや、藍領の泉に落ちてから使えるようになった。
⚔️それを隠しながら修練してたと、
⚛️うん。
⚔️…はぁ、キミね、そういうのは周りに相談するもんだよ?
⚛️相談したら…巻き込んでしまう。危険だ。
⚔️🗡…。
⚛️だからっ、私は孤児院を出る。あの人達は身を守る術がない、私にはあの人達を守る術がない!正直いうと強いあなたに里親になってもらって何事もない感じで孤児院を出たかったんだけど、そんな都合よく出来ないのも分かってて…どうしたらいいか教えて!
🗡…オーナさん、ダメですからね。
⚔️んー、
🗡ダメですからね?
⚔️よし、俺が引き取ろうか。
⚛️ホント?
🗡ダメって言ったじゃないですか!!
⚔️ま、ミラくんの言ってる事は正しいし、このままこの子を放っといても危険だからね。俺が里親兼監視役って事で。
⚛️…!!
🗡僕はこの子をまだ信用できません。妖魔やノウムの手先だったらどうするんですか。
⚔️その時は俺が殺そう。
⚛️!?
⚔️違うだろ?
⚛️違う!
⚔️なら良いじゃないか。な、カイラ。
🗡はぁ、僕は知りません。
⚔️院長さんに言えば良いのか?
⚛️うん!
⚔️じゃあ日を改めて伺う事にするよ。今日はもう遅い。
⚛️!?そう言って逃げるんじゃないのか!
⚔️逃げない逃げない。今日は俺もまだ仕事が残ってるんだ。また明日な。
⚛️明日、明日だからね!
⚔️分かった分かった。
◆
👩🏻🏫ミラは16歳。14歳で出ようと思えば退院することも出来たのに、何故しなかったの?
⚛️理由が無かった。自信もなかったし。
👩🏻🏫では、今は理由があるのですね?
⚛️ある。
👩🏻🏫教えてください。
⚛️教えられない。
👩🏻🏫…何故?
⚛️それも、教えられない。
👩🏻🏫…退院の決心がついたのはいつですか?
⚛️…藍領の旅行から帰ってから、少し考えてて…決めたのは昨日。
👩🏻🏫アカデミーの存在を知った事に関係がありますか?
⚛️アカデミーの事は前から知ってたよ。
👩🏻🏫ではアカデミーの方に関係が?
⚛️…違う。院長、尋問みたいに感じるんだけど。
👩🏻🏫そう感じるならそうなのでしょうね。
⚛️む…、院長が許可してくれなくても私は出て行きます。今までお世話になったから、きちんと感謝を伝えに来ました。
👩🏻🏫そうね、あなたは頑固だからね。
⚛️…ありがとうございました。院長の事、一生忘れません。
👩🏻🏫…。
⚛️…っ、さよなら。
⚔️まてまて。
👩🏻🏫オーナさん?
⚔️君ね、勝手に動かれたら困るんだけど。
⚛️…本当に来ると思わなかったから。
👩🏻🏫オーナさん。ミラが理由を言わずに退院を願い出て来ました。ご説明、頂けますか?
⚔️なんだ、理由言ってないのか?
⚛️…。
⚔️あー、つまりアカデミーに入学したいそうです。
👩🏻🏫アカデミーに?
⚔️実は昨日、こちらを出てから妖魔を相手にしまして、その時にこの子が危険な目に遭いました。
👩🏻🏫なんですって!?ミラ、何故言わないの!?
⚛️…、、
⚔️そこで自分の非力さに嘆いていましたよ。院長や友達に要らぬ心配もさせたくない、とも言ってました。
👩🏻🏫怪我は、していないのですね?
⚛️…してない。
👩🏻🏫要らぬ心配?それはあなたが決める事ではありません。私はあなたの母親同然。心配するなという方が難しい。今の様に危険な事があったと人から聞くのはとても悲しいことです。あなたがいなくなってからではこの気持ちを伝える事もあなたの気持ちを聞くことも出来ない。
⚛️…。
👩🏻🏫ミラ、あなたは王国騎士になりたいのですか?
⚛️違う。
👩🏻🏫では妖魔と戦う必要も、非力を嘆く必要もありません。アカデミーに入学する動機は何です?あなたの性格上、組織に所属することを拒むと思いましたが?
⚛️…動機は言えない。
⚔️君は嘘がつけないんだな。誤魔化してしまえばもっと楽なのに。
👩🏻🏫そういう子です。まさかとは思いますが
⚔️違うからね?俺がたぶらかしたんじゃないですよ?
👩🏻🏫そうですか。
⚛️ここに、いたくなくなったから。
👩🏻🏫ミラ?
⚛️理由は、この孤児院にいたくなくなったから。
👩🏻🏫……ミラ。いい加減にしないと怒りますよ?
⚛️本心だよ。
👩🏻🏫分かりました。好きになさい。あなたが理由を言わない限り、私は今後一切の補助を行いません。孤児院の者と接触する事も禁じます。
⚛️好都合だよ。荷物をまとめたらすぐに出ます。
👩🏻🏫何を言っているのですか?
⚛️へ?
👩🏻🏫まとめる荷物なんて無いでしょう。今まで与えていたものは全てここの備品です。あなたの所有物などありません。
⚛️…そうですか!では、お世話になりました!二度と顔を出さないから安心してくださいよ!さよならっ!!
バタンッ!!!!!
👩🏻🏫……、
⚔️あいつが理由を言わないのなら、俺からも言えません。
👩🏻🏫…っ。
⚔️院長、ミラは…頑固で真っ直ぐな、優しい子ですね。
👩🏻🏫うぅ…、あの子をよろしくお願いします。
⚔️はい。