劇場◆第六章◆01
◆
その昔、ヒト種は地上でも数少ない種族で、その多くはホミニン王国に住んでいた。
魔導士は何の前触れも無くホミニン王国に現れた。強大なマナを持つその魔導士は、魔族特有の残忍さと冷酷さを持つダマラ・ナルガ。
魔導士は邪悪なマナを垂れ流しながら「最近退屈なんだよね。」と一言残して煙のように消えた。国王はすぐに後を負わせたが捕まえる事は出来なかった。
ダマラがホミニンの城を出て数時間後、城下町にいた王子がダマラによって連れ去られた事が国王へ伝わる。
国王は怒りを抑えきれず勢いのままに、ダマラ討伐と王子奪還へ向かう。
◆
ダマラを追って平原に出ると、数百のノウムが待ち構えていた。ノウムと王国騎士団、王国魔導士団の戦いが始まる。
王国騎士のラエルは国王に向けられた攻撃を庇って負傷し、その拍子に付けていたピアスが外れてしまう。ラエルは苦しみ赤い涙を流すと目にも留まらぬ速さでノウム達を倒していった。
何が起きたのかわからない王国騎士団と国王はただただ見つめることしかできなかった。
ノウムを全て倒した後、ラエルは王国騎士団へ飛びかかり殺害していく。国王はラエルを恐れて王国魔導士に殺す様命令した。
驚いたラエルの友人ルードスはラエルへ声を掛ける。ルードスの声に理性を取り戻したラエルは惨状を見て自分の行動を理解した。バーサーカー化した反動で体が軋む中ピアスをつけると逃げるようにその場を離れた。
呆気にとられていた国王は帰還を決断する。
◇◆◇
傷だらけで死にそうになっているところを、先程王殺しに失敗した老師に見つかり、不老不死の呪いを受ける。
👨🦳貴様のせいでチャンスをのがしてしまったじゃないか。
⚜️ぐあぁ…っ!
👨🦳痛むかぁ?お前からは邪悪な気と澄んだ気を感じる。さっき受けた攻撃でマナが暴走したんだろう?難儀な身体だなぁ。どれ、わしがより人生を楽しめるようにしてやろう。
⚜️やめ、ろぉ…っ!!
👨🦳これで…お前は死ぬ事も老いる事もなくなった。死ねない身体で苦しみ続けるがいい。可哀想になぁ…わしの邪魔をしたばっかりに。ヒヒ
(傷はつくし、痛みと苦しみもあるが、ゆっくり時間をかけて治ってしまう。呪いを解くには老師を殺さなければならないが、老師はその後誰かに殺されていて、解くすべは分からなくなった。)
◇◆◇
多くの兵士がダマラ討伐に駆り出されたが、実践経験の少ない若者ばかりが犠牲になった。
ダマラ討伐で大きな損失を出し、王子も取り返せなかった国王へ不満を募らせた国民は城を囲んだ。
「国王の息子も結局はヒト種だったよ」と広場中心にある噴水に足を下ろすダマラ。
「捕らえろ!」
「だから、いーらない」
国王の命令虚しく、城は崩れ街は崩壊し、辺り一面が焼け野原となった。
◆