Theatrum

創作の引き出し。創作途中の話もあるので、突然文章が変わる事があります。

紅緋◆01

紅緋は神楽女として用心棒を雇い、古城内に漂う幻光花を鎮めていた。

古城攻略中に用心棒の子どもの話を聞く。
 
奴隷狩りから助けた男の子を、男手一つで育てたという。剣術、体術を教えると、何をやらせてもすぐに会得してしまうが、コントロール不足での失敗が多いらしい。
魔導に関しては紅緋に頼みたいと冗談を言っていた。
 
 
用心棒と別れて数日後、例の古城近くで事件が起き、収める為に向かった手練れ達が大きな爆発に巻き込まれて多くが死亡したという知らせを聞く。
胸騒ぎがした紅緋は用心棒の住む街まで戻った。用心棒の安否を確認しに現場へ行くと、死亡・行方不明者のリストが掲示されていた。リストの中に用心棒の名前を見つけ、近くにいた警備員に詳細を聞く。
 
古城に住んでいた年老いた天来外来種が、大量にアルコールを飲み、召喚魔導・破壊魔導で大暴れしていたのを兵士や用心棒達が止めに行き、大爆発があったらしい。用心棒の子どもについて聞いて回ったが知っている者はいなかった。
 
古城は爆発で半壊していた。地下へと続く隠し通路の様子を見に中庭へ向かうと、壊れた噴水に少年が腰掛けていた。虚空を見つめたまま動く気配がない。
近づく足音に気づいた少年は素早く反応し振り向いた。
 
こんにちは
…こんにちは、
古城に住んでたの?
いえ。
じゃあ爆発の…
はい。父が爆発に巻き込まれて死にました。
その人、用心棒やってた?
…はい。あの、何故それを?
なんとなく。
…もしかして、紅緋さんですか?
うん。テオバルト(護衛の名前)さんとこの子?
はい。ラルフです。
そう…。行方不明の可能性は?
薄い希望は持ちたくなくて。
そっか…。
服や防具の欠片で判断できた人はいたらしいです。父の物は何も見つかりませんでした。
そう…。
ぼく…、
…?
…魔人の呪いを受けているんです。
魔人の!?
父に拾われる前…魔人の血を誤って飲んでいます…。それを理由に本当の家族からは捨てられました。
…そうなの…
 
<魔人の呪いは不幸を呼ぶ…>
 
僕が、父を殺してしまったんです。
それは違うよ。
僕が呪いを受けていたのに父に近づいたんです!僕のせいですっ!
自分を責めてどうするのさ。それより今後どうするか考えなさい。
…魔人を殺します。僕みたいなのが増えないように、全ての魔人を封印してやる。魔人の呪いに僕がなってやる。
君にそれが出来ると思えないなぁ。
なんでですか!?
魔人は強いよ。君も実体験したんでしょ。今の君じゃ無理だよ。
…ッ、じゃあ僕にその術を教えてくださいっ!
え。
あなたに弟子入りします。魔人を封印する方法を教えてください!お願いします!
いやいや。私も知らないし。
父から聞いてます!凄い魔導の使い手だったって!
だとしても、私は弟子を取らないから。
あっ…でも。僕が一緒だとあなたに不幸が来てしまう…やっぱり、自分でなんとかします。
(混乱してんなぁ)…。あのさ、普通のヒトなら魔人の呪いを貰ったらすぐ死ぬはずなんだけど、ラルフは大丈夫なの?
…そうなんですか?
うん…その印は?
これですか?これは生まれつきなんです。
それ、加護の印がある。もう発動されてるみたいだから今はただの刺青だね。
そうなんですか?加護…?
刺青に変化がなかった?
あ、昔は紺色だった気がします。
そうだよね、発動すると黒になるんだよ。普通、徐々に灰色に変化して消えるものなんだけど、消えないという事は何か意味があるね。
意味?
たとえば、ラルフがヒト種じゃ無い…とか?
ぇ。
身に覚えは?
ぃや……、ないです。
ふーん?(以外と冷静…怪しい)まぁ、テオバルトさんには借りがあるし。
…?
ラルフ。君に興味が出た。君がそうしたいなら私についてくるといい。ただ、弟子にはしない。自分で勝手に成長してちょうだいな。
えっと…ホントに良いんですか?呪いが…
呪いなんて捉えようだよ。それを言ったら私はもっと危険なのを持ってる、呪いだなんて思ったことないけどねw
…。
ちなみに、私は魔導の知識はあっても戦う技術はからきし。用心棒は常に入りようだよ。
…っ!? 行きます!ありがとうございます!父に代わって紅緋さんを護ってみせます。
ま。まずは自分の身は自分で守る事だね。よろしく!
はい。よろしくお願いします!