Theatrum

創作の引き出し。創作途中の話もあるので、突然文章が変わる事があります。

神と鬼の子

家にいたら魔導士に襲われた。理由がわからないし太刀打ちできないしで泣きながら逃げていたらすごく強い人達に助けてもらえた。

 


戦乱の世で弱いままではすぐに死んでしまう。それもいいかなと思ったけどそうもいかないから強くなりたい。

 


そう思っていたところに忍雅衆の組頭という人が一緒においでと声をかけてくれた。年の近い子が城にもいるから話し相手くらいにはなれるだろうって。

 


僕はこれを機に強くなるんだって、漠然と思った。


◆◇◆

 


甘戯、いるか。

 


はい?

 


ちょっといいか?

 


 


この子はモイハ。訳あってうちで預かることになった。こちらは甘戯。見習いだが忍者だ。

 


よろしくお願いします。

 


よろしくお願いします。

 


甘戯には1ヶ月間モイハを護衛してもらう。

 


護衛ですか?

 


そうだ。モイハは半神半鬼だそうだ。

 


半分神で、半分鬼?可能なんですか?種族の違う者達の間に子どもは出来ないのでは?

 


基本的にはそうだ。しかしモイハだけは違うというだけのことだ。

 


そうですか…それで、何から守れば良いのですか?

 


それは調査中だ。ここへ来る時にも魔導士が襲ってきた。

 


魔導士が!?大丈夫かな…

 


お前は魔導士と戦ったことがなかったか?

 


うーん、先輩方が戦っている所をみたことがあるだけです。

 


なら、今回の事で学んでおけ。もしモイハが死ぬような事があれば、お前もただじゃ済まないと思え。

 


はい!

 


モイハの荷物や生活品は甘戯の部屋に運んである。

 


分かりました。モイハ、よろしく!

 


はい…よろしくお願いします。

 


 


モイハはどこの生まれなの?

 


…えっと…△△。

(母は買い物、父は出稼ぎに行っている時に僕は襲われたんだ…)

 


へー!私は組頭に江戸川で拾ってもらったんだぁ。お腹すきまくってたからあんまり覚えてないんだけどね!

 


そうなんだ…。

(この子は両親を知らないんだ。餓死寸前だったってことかな…僕より大変だったんだ…なのに僕はまだ元気になれない…贅沢かな…)

 


そんで、組頭や小頭とか、他の忍者の皆さんに育ててもらったの。みんな親代わり!

 


へぇ…

 


モイハの親は?

 


…ぅ、ん。

(これ言ったらもっと質問されるな…逃げる僕を助ける為に来てくれた人達がみんな傷つけられて…死んだ人もいるかも…僕のせいで…)

 


モイハ?

 


親は…

 


モイハ、大丈夫?

 


え?

 


顔色がすぐれないよ。

 


あ、そう…かな。

 


うん、疲れてるのにたくさん話してごめんね。ご飯食べて部屋でゆっくり休もう。明日は屋敷内を案内してあげるね!

 


うん、ありがとう。

 


 


それは君のせいじゃないよ。君は戦う為に修行をした事ある?

 


ないよ…。

 


そうでしょ?その方法を知らなかったからって、君が悪いことにはならないよ。もし、修行してたら…

 


修行してればこんなことには…

 


そうじゃないよ!修行してれば君がとれる方法の幅が広がったってだけさ!どっちにしろ死んでたかもしれないし助かったかもしれない。

 


…方法の幅?

 


ただ見てるだけが嫌だと思ったなら、次も同じことしない為に今から頑張ろうよ!私も付き合うよ!

 


…修行するって事?

 


そう。まずは体力をつけないと、裏山へ散歩に行こう!

 


 


散歩なのにすごく疲れる…はぁはぁ

 


そーゆー山だからね。

 


甘戯は息切らしてないね…はぁはぁ

 


小さい頃から遊んでるから。モイハも慣れれば大丈夫だよ。

 


慣れるかなぁ…はぁはぁ

 


あれ?

 


はぁはぁ…なに?

 


誰かいる…

 


え!?

 


静かに。

 


シュッ(草むらに石を投げる、野ウサギが姿を現し逃げていく

 


なんだウサギかぁ、びっくりしたぁ…

 


…(ウサギより大きな気配だったんだけどな

 


ザワ…

 


!?モイハ下がれ!

 


カッ!

 


手裏剣!?

 


わたしの近くから離れるなよ。

 


う、うん。

 


誰だっ!出て来いよ!

 


サワサワ…(草木の音

 


いないの?甘戯、いなくなった?

 


…、

 


ダッ!キンッ!サッ…

シュッ!キンッ!

(草陰から飛び出してきた者が甘戯へ斬りかかるが、クナイで受け止める。もう一本のクナイで腹を狙ったが避けられた。再び近づいてきてクナイとクナイで斬り合う。

 


モイハッ離れるなよ!?

 


う、うわぁ…動けない…

 


モイハっ!?

 


腰が抜けたか…覚悟っ!

 


モイハっ!!(モイハに覆いかぶさり庇う甘戯

 


あ、甘戯?甘戯?

 


(呼び声に答えないぐったりした甘戯

 


甘戯!?お前、何したんだよ!

 


急所をついた。お前はどうする?かかってくるか?

 


う、ぁ…くっそ、甘戯ぃ…

 


ザワ…

 


ん?お前目が…

 


う、うーん、

 


甘戯!?

 


守りながら戦うのって難しいんだな。イテテ

 


え?

 


あれ?…モイハ、目が赤いよ!?何か入った?

 


俺も気になった。しかし特に何もしていなかったぞ。泣いている様子もなかったし…

 


何かの毒かもしれない!救護室へ行こう!

 


え?え?へ?

 


 


特に異常はありませんね。念のため綺麗な水で目を洗っておきましょう。

 


先生ありがとうございます。

 


勘違いかな?

 


それより!どーゆー事だか説明してくださいよ!

 


あー!あのね、いつ攻撃されても落ち着いて対処するって訓練なんだよ。山に入った時はよく襲われるよ。

 


……とても…びっくりしました!!

 


ごめんごめん!!あんまり普通な事だから伝え忘れちゃって!本当にごめんね!

 


すまなかった。甘戯は常にちょっかいの対象だから、次からも許してほしい。

 


む〜慣れるしかないって事ですね、

 


 


手合わせしよう!なにしてもなに使ってもいいよ!

 


手合わせ?

 


そう!行くよっ!!

 


わわっ!なになに?いたっ!?

 


ほらぁ!やり返さないと怪我するよ!

 


いったぁーい!やめてよぉ!

 


でもホラ。この間みたいに私が気絶したら終わりだよ?

 


それは…確かに。

 


ね!ホラここ!殴ってみて。グーだよ!

 


う、うん…あだっ!?なんで先に殴るの!?

 


遅いんだもーん。

 


心の準備がいるでしょお!?

 


そんなのしてる間に死んじゃうじゃん!

 


んーもー!!!僕には僕のペースがあるのっ!

 


そんなの待ってくれないよーん!

 


いだっ!いたいっ!!もー!怒った!てやーーー!!!

 


はは!

 


 


ドカーン!!

 


なに?甘戯がやったの?

 


違うよ?…まずい!モイハこっちに来い!

 


え?

 


早くっ!

 


キーンッ!(飛び道具をクナイでかわす甘戯

 


まぁーたお仲間さん?

 


違う!魔導士だ!はやくここから離れるよ!

 


え!?わわっ!!

 


遅いよ。

 


ちっ、

 


(戦う甘戯と魔導士。モイハも少し頑張る

 


ドンッ!!

 


ガハッ!?(岩に叩きつけられる甘戯

 


甘戯!!!くそ、わぁ!!?(頭部を鷲掴みされるモイハ

 


やっと捕まえた❤️早く持ち帰って研究したぁーい❤️

 


研究!?

 


半神半鬼だもん。気になるでしょ?俺だけじゃないはずだよ?ま、ホラ。これからの事はあとでいいから、おねんねしててよ。(手に力を込めて苦痛を与える

 


ぐ、ぐぁぁああ!!

 


モイ、ハ…

 


あら、起きたの?あれ?(モイハを掴んでいた腕が切り落ちる

 


なんで!?俺の手が!?おまえか!?

 


ぐぅうううう…(両眼から血を流しながら唸るモイハ

 


目から血が出てんぞ!それってもしかして、神か鬼の力か!?そそるわー!!!どうやったの教えてー!!

 


ぐぁーーー!!

 


(戦うモイハと魔導士。魔導士圧倒的大差で負ける

 


やば…。あれ止まるのかな…。モイハ?

 


ぐぅう…、ぅあああーーー!!!

 


だめだ。どうやったら理性取り戻すのさっ!!

 


(色々試すが成らず。怪我がきつい甘戯

 


くっそ、なんかヒントないのか?神と鬼か…モイハのピンチに…瀕死の…ぐはっ!ぁ…が…

 


(甘戯を床に叩きつけ、首を締めるモイハ

 


モイハのマナが乱れてる…これを調整して…ぐ、ぅう…ぁ…(自分のマナを注いで甘戯が調整を試みる

 


ぐ…ぅ…?……ん?わっ!ごめん!(慌てて手を離すモイハ

 


はぁ、出来た…

 


え?なにが…(いきなり倒れるモイハ

 


やば、私も…(気絶する甘戯

 


 


鬼と神のバランスが合ってさえいれば暴走はしないはずだ。その検証からやってみる必要があるな。その為にはまた暴走を誘わなければいけないけど、なにがきっかけでああなるのか?敵視される事?窮地に追い込まれる事?何にせよ私自身、あれを止められなければ共だお…ゴンッ(げんこつをくらう甘戯

 


いだっ!?

 


寝言がうるさい。

 


組頭…。運んでくださったんですか…

 


部下がな。

 


お恥ずかしいところをお見せしました。

 


見飽きてるよ。

 


うぅ。

 


何があったかは寝言で分かった。で?モイハ君はどうしたいの?

 


モイハ!?あ、モイハ〜!無事かぁ!?

 


うん、ごめんね…ありがとう甘戯。…ごめんね

 


私こそ!モイハ強いなぁ〜次は負けないぞ!

 


え?

 


なんだまだやるんだ。じゃあおじさんはお暇するよ。

 


え?え?

 


組頭!ありがとうございます!

 


 


だーかーらー!それを調節できないならお部屋に引きこもってなさいって言ってんの!周りに迷惑なんだからっ!

 


迷惑なんてかけないよ!だって調節する訓練だって頑張ってるんだからっ!

 


へー!?でも出来た試しがないじゃないのさ!

 


何が悪いかはその都度学んでるんだからいーんだよー!

 

 

 

喧嘩?珍しいね。

 


組頭。あれも暴走を誘発する為の罵り合いらしいですよ。

 


あー。

 


 


甘戯、モイハ。親方様からの指令で、町に文を届けて欲しい。帰りにお客様用のまんじゅうも買って来るように。

 


わかりました!

 


 


町に行くの久しぶりだね。

 


そうだな〜。ここ最近ずっと訓練、怪我、訓練、怪我だったもんね!

 


はは…ごめん。

 


あはは!なんで謝るのさ!私だいぶ強くなったと思うんだけど!

 


それは思うよ!僕も結構筋肉ついたよ!

 


思った思った!

 


ブォー

 


ん?なに?

 


戦だ。…魔導士では無さそうだけど、念の為迂回して行こう。

 


分かった。

 


あの…もし、

 


はい?

 


◯町へ行かれますか?

 


あ、いえ。私達は△町へ行きます。

 


そうですか…。ぁいや、戦が始まったようなので心細かったもので。失礼しました。

 


あ、はい。

 


(離れるおばあさん

 


大丈夫かな。

 


◯町ってあっちの方か?

 


うーん。あ!おばあさん戦場に向かって歩いてない!?

 


はぁ!?

 


まずいって!

 


あ、おい!モイハ!!

 


 


おばーさーん!

 


ばかっ!でかい声出すなよ!

 


ひゅーっひゅん!(色々飛び交う戦場

 


かがめっ!

 


おばーさんどこだ?

 


おい。

 


え?

 


なんだ貴様ら。部外者か?

 


やばっ!

 


女子どもでも敵の回し者かもしれん!やれっ!!

 


おー!

 


まっずい!!

 


(片方の敵は2人が逃げるには簡単だった。しかしもう片方に魔導士が数名おり、半神半鬼だと気付かれて捕獲されそうになる。

 


モイハ!

 


甘戯!?

 


モイハ集中しろ!訓練を思い出せ!マナをコントロールしろ!自分でやるんだ!お前がやれ!モイハっ!

 


黙れ!

 


ガハッ(腹部に強打

 


甘戯!!甘戯をいじめて、近くの町の人に迷惑かけて、お前達…許さないからな!!うぁあああああ!!!

 


 


甘戯、甘戯?

 


んぁ?

 


もー寝過ぎ。

 


へ?そんな寝てた?風呂入ったの?

 


昼食終わって一汗かいてきた。

 


やばっ!そんなに!?

 


まぁそれほど疲れてたんでしょーけど、甘戯が寝てるとつまんないよ。早く顔洗って目覚ましてきて!

 


うはぁい!!

 


甘戯、モイハ。

 


紫さん?

 


親方様から指令だ。◯町に文を届け、帰りにお客様用のまんじゅう買って来いって。

 


はいっ!

 


はーい!

 


 


甘戯!今日は僕が先だからね!

 


えー!ジャンケンでしょ?

 


この間は甘戯だったじゃん!

 


もし、そこの方…

 


ガシッ

 


え?あの、

 


おばあさん。ここいらで無闇に戦場へ誘い出す人がいるって噂なんですが。あなた、知ってますかぁ?

 


(声を掛けてきた人の手首を掴むモイハ。その両眼は紅と黄に染まっていた。

 


fin