甘能美にあふれた世界

創作の引き出し。創作途中の話もあるので、突然文章が変わる事があります。

長女 ・ 三女 ②


…という事だから、報告は頼んだ。私はもう少しこの研究所とミラ・ハートネットを監視するから。お前達は戻って準備しておきな。
あなた明道院の長女だったのね。何故名前だけ名乗ったのよ。
家は関係ないだろ。仕事をしてんのはアタシなんだから。
お家と仲良くないの?
いや?仲良しだよ。
…?
てゆーかこの服見て分からない方が珍しいけどね。
そうなの?明道院は和服だと思ってたから…
和服は戦闘しないお偉い方だよ。お前魔導具の研究もしてる?
ええ。
んじゃあこれは?
あ、それ私の開発した型ね。
そっかぁ〜。言い辛い事言っていい?
何?
お前の仕事場、お前が攫われてから燃やされたんだ。純教集団に。
……え。
邪教の教えを反映させようとする異端だってさ。
…馬鹿じゃないの。
人も資料も全部燃えて魔導具の研究・開発者は死んじゃってな。今までの研究過程もおじゃんだそうだ。
…ホントありえないっ!どんだけ大変な思いしたと思ってんの!?邪教!?馬鹿じゃないの!!!?思想だけで暴走してんじゃないわよ!!こっちは確かな数値を基に真実追求してるっつーのに!!馬鹿馬鹿しい。ぶっ殺すわマジ!!!!
おぉ…そんなでかい声出せんのね。
はぁ……
あっ、え?なんで倒れるのよ!?
エネルギー…切れ…
…エネルギー…?ぇ、ガソリン…?軽油…?

いや、ガソリンはない。
だぁってエネルギーとか言うから。
人間のエネルギーは食料でしょ。
だぁかぁらぁ!あの研究所にいたんだからサイボーグにでもされたのかなって思ったんだよ!!!
ないわぁ〜。
うっざ!!
そんなのはいいのよ。カルラ、こんな所に連れてきて、あの研究所壊されてないわよね?
お前がいきなり倒れたから宿屋とってやったんでしょ!?こんな所とか言うな!
私はあそこを出たくなかったの!!
大丈夫だよ!こっちだって魔導具作れるやつがいないと困るんだから、出来る協力はするっつーの。
そう。ならいいのよ。おかわり。
食うねー
あなたの料理美味しいわ。満足に食事してなかったし。そういえば、何日間あそこにいたの?私
確かじゃないけど、約1ヶ月だな。
うげー。1ヶ月も何も作ってなかったと思うと痙攣しちゃう…で、さっきから喋らないこの子は誰?
あ?知らないのかい?
会った事が無いので知りません。
そーなのか。あたしもさっき知り合ったんだけどな。こいつが研究チームの頭をぶっ殺したからあたしらは研究所に入れたんだ。
あなたは誰?
あたしか?カルラ。明道院だ。
明道院…、加護に恵まれた者が多く、暗殺から生活保護まで多種多様な依頼を受ける一族。
お、なんだ知ってたのか。
…あなたは?
人に尋ねる前に自分の事話しなさいよ。
おいおい、あたしが名乗った後に言うなよ。
得体の知れない人に気軽に話せないくらいの秘密なの。だから先に聞いてもいい?
なんだそれ。
興味ないわ。あんたがどんな子であろうと私には関係ないもの。
…私には友達が必要なの。
だから知らないってば。
そんな冷たくするなよ。同じ研究所にいた仲間だろ〜?
うるさいわよ。友達になりたいのに相手を疑ってかかるようじゃ苦労するわね。
疑うのは基本だろ。
殺し屋と一緒にしないでちょうだい。
言うねぇ。
…ごめんなさい。友達を作った事がないのでどうしたら良いか分からなくて。2人とも怒らないで。
怒ってないわよ。
怒ってないよ。
…私はあの研究所で生まれたAI。名前はイヴ。
AI?凄いじゃない。AIが生みの親を殺したって訳ね。
ええそうよ。次に生み出される者の為に殺されそうになったから殺したの。
AIに殺すって概念がある訳?
データのリセットっていう事でしょ。人格も思考回路も消去されるなら殺すのも一緒って事ね。
ええ。侵入者の対応で慌てていて、隙が出来たので殺したわ。
いーんじゃない?それで、なんで友達がいるの?
…分らない。なんとなく…。
そう。
イヴはなんかしたい事あるの?
世界を見たいわ。
旅か。AIが色んなもの見たらどんな事が起こるのかしらね。イヴの電源はなんなの?
私は食料を燃焼してエネルギーを作るわ。充電する事も出来るけど。
ふーん。じゃあ言わなきゃAIてバレないわね。
そう思う?
うん。旅したらいいじゃない。
変な御願いをしてもいい?
なに?
元手が欲しくて…
あぁ、じゃああたしが貸してやるよ。
ホント?
AIならなんとかして増やせるだろ?
えぇ。頑張るわ。
私はあの研究所からデータとサンプルを回収して研究したいわ。
じゃあしばらくはあそこにいるの?
そーかなー。
分かったわ。
ミラ・ハートネットよ。魔導研究が趣味。
ミラ…カルラ…よろしくね。