甘能美にあふれた世界

創作の引き出し。創作途中の話もあるので、突然文章が変わる事があります。

変態と血の暴走(2014.6)

◆5◆

王国へはミューリウムと使者のみで向かう事になった。

謁見の間に通されると、王と近衛師団長が2段上から見下ろし、周りには近衛師団のいかつい連中が睨みつけている。嫌な威圧感がある…。
捜索隊が話した通り、ダマラの標的がホミニンに向けられており、以前のダマラ襲来から少しずつヒト族を殺しにかかっている現状らしい。近衛師団や聖騎士団では雑魚を倒す事しか出来ず、誰かの力を借りるしか手立てが無いらしい。
スレイプニルに居て、マジョルカ・ナルガを手懐けたミューリウムならあるいはと思ったのだと言う。
「そーいえば、最近一人新しく拾った子がいるんだ。記憶喪失のミズキ君。」
テオバルドは目を見開いた。そのミズキは王子かと聞かれ、恐らく本人だが、会いたくないと言うので連れてこなかったとミューリウムが言う。ダマラによって殺され、ヒトではなくなった自分を城の者に見られたくなかったのだろうと。「いずれミズキから会いに行くだろうから待ってあげて」
「あれ?ミズキ君生きてるの?」
「っ!?」
「しかも君のところに居るなんて、君は僕からたくさん取っていくね…許せないな」
気配なくミューリウムの背後に現れたダマラ・ナルガ。ミューリウムを背後から抱きしめると、自分を中心に球体のバリアを貼った。ガルディモはテオバルドの前に立ち、近衛師団がバリアへ攻撃するが傷一つつけられない。
ダマラは力一杯ミューリウムを締め付け、あばらを何本か砕くと、無理矢理向き直させ深く口づけをした。ダマラの口からは麻痺薬が流れミューリウムの自由を奪った。
ダ「…大人しくなった?ミューリウム君はじゃじゃ馬だから、こうでもしないと捕まえられないもんね。」
ミュ「っ…、糞が…、」
ダ「それ褒め言葉。」
ダマラはミューリウムとズボンの間に手を入れ、呪術をかけた。
ミュ「ぐぁっっつ!!!」
呪術の模様が右の骨盤に沿って現れると、ミューリウムは突然吐血して苦しみだした。ダマラが施した呪術は悪魔の魔力を含んでおり、位置を把握するもの。ミューリウムはダマラによってマーキングされたのだった。
ダ「あれ?なんでそんな苦しんでるのw…あぁ、そういえば君、女神が混ざってるっけ?」
ミューリウムの髪を掴んで無理やり顔をダマラへ向けさせる。
ダ「女神と邪鬼の混血かぁ…それって自殺行為じゃない?両親の顔が見たいよw君も不憫だね」

女神族は魔族の血を含むと汚れにより死に至る。逆もまた同じ。女神族の母と邪鬼の父を持つミューリウムは、常に女神の血と邪鬼の血を均等に保たなければいけなかった。ダマラの魔族的魔力が体内に注がれ、女神の血が防衛の為に暴れ出したのだ。
ダ「面白く育ってたんだねぇ、実験体に欲しいな。」
次の瞬間ミューリウムを掴んでいたダマラの手が落ちた。ミューリウムの目から真っ赤な血が流れており、溢れ出た魔力が狂気に染まっていた。
ダ「おやおや。女神族の血が暴れ始めてるね。こりゃ大変だ。テオバルド、後はまかせたよっ♪」そう言うと落ちた自分の手を拾い、ダマラはバリアを解いて空に消えた。

ミューリウムは自我を失い、スピアを使って近衛兵達に襲いかかった。ガルディモがミューリウムの攻撃を弾いてカウンターを狙うが、かわしたミューリウムは真っ直ぐにテオバルドを目指した。反応が遅れたガルディモはテオバルドの元へ間に合わない。

ガキィッ
ル「ダメだよミュー、なにがあったんだよぉ」
マ「すんなり入れたんだけど、城の防衛見直した方がいいよ」
ミューリウムの攻撃を止めたのはルルムラ。ダマラの魔力を感じてルルムラとマジョルカが王国へ乗り込んできたのだ。
ル「くっそ、攻撃を弾くのがやっとだよ!マジョルカ正気に戻せる!?」
マジョルカは魔力で光玉をだして隙を作り、ミューリウムの顔面にしょうていを食らわした。そのまま悪魔の魔力を吸い取り、女神の暴走を抑えた。