甘能美にあふれた世界

創作の引き出し。創作途中の話もあるので、突然文章が変わる事があります。

マジョルカ (2014.4)

ミューリウムとマジョルカ

ミューリウムは秘境で使い魔堂を営み、町で魔道具を売っている。ミューリウム自らが集める素材は珍しい物ばかりで、遠くから足を運ぶ客も多い。儲けが多そうな金持ちや商売上お近づきになりたい客には自ら足を運んで品物を届ける事もある。ただし、嫌々届けに行かなくてはならないこともごく稀にある…。

「いらっしゃい、こっちに座って」
「…どうも。」

明らかに客間じゃない。
こいつの部屋じゃないのか?

招かれたソファーに座り、目の前の机に頼まれた品物を並べて行く。

「これが薬草、こっちは薬草を液体にした飲み薬。そしてこれが森の卵と溶岩の華。品物は以上です。」
「ありがとう。遠いのにわざわざ来てくれて嬉しいよ」
王の圧力で断れなかったんですけどね。と心の中で呟くミューリウム。
「これ、お礼だよ。」
机の上に小銭袋と数枚の札が置かれる。
「ところで、」
謝礼を確認しながら口を開くミューリウム。
「ここ、客間じゃないですよね?」
「うん。僕の部屋だよ」
「そーなんすか。」
何かを含んだ表情で返事をする客に寒気を覚える。
「ちゃんと客間はあるんだけど、今回は僕の部屋でいいかなと思ったんだ」
「はぁ…」
「提案がね、あるから。」
楽しそうに笑う客。
「僕、マジョルカって言うんだけど、聞いたことあるかな?」
最悪。の二文字が頭に浮かんだ。依頼主の名前は伏せられていた為、ただ者じゃないだろうとは思ってたけど…。表情には出さないように堪えるミューリウム。
「はぁ。確か王国付きの魔女でしたか…」
「それそれ。正確には契約魔女みたいなもんだけどね。お互いギブアンドテイクでやってきてるから。」
「…。それで、提案ていうのは?」
「急かさないでよぉ。そんなに早く帰りたいの?」
クスクスと笑うマジョルカに帰りたいですとも言えず。
「君が言ったように王国、つまり王と僕はお友達なんだ。僕が王の望むものを与える代わりに、王は僕に魔力を提供してくれるんだ。」
「魔力…?」
「半年に一回あるだろぅ?」
「…マジョールの宴」
「そうそう、あれは王が命令して民に祈らせてるだろぅ?実は僕が王に命令して魔力を集めさせてるんだよ。ふふ、ここからはオフレコね。」
「…。」
「あれ?ノーコメント?」
「魔女は突飛な事を好みますから、あんたくらい有名な魔女ならそういうこともするでしょう。」
「へ~?意外な反応だな。」
キョトンとしてミューリウムをみるマジョルカ
「僕がどうして魔力を集めてるかといったらさ、
「使い魔を操るためでしょう。ついでに言うとただの使い魔ではなく、生物に寄生させて操るタイプ。」
「あれ?知ってたの?」
「今分かりました。それでルブランの奴は死なないんでしょう?」
「そうそうw凄いなぁ、流石使い魔堂を営んでるだけあるね!それに…君も大概突飛だということだ?」
「一度考えた事はありますよ。だけど、動物や魔物以外にやろうとまでは思わない」
「ふふ。まるで僕が変態みたいじゃないw」

変態だろ。

「ルブラン君はね、昔王国に指名手配されていたんだよ。医者としての興味で人をたーくさん捌きまくったんだ。でもルブラン君強いじゃない?簡単には捕まらないし殺せやしないって事で僕に暗殺の依頼がきたの。」
「でも彼面白いからさ、殺すの勿体無いと思っちゃって、ルブラン君の急所をくり抜いて魂石とリンクさせて、僕が大切に保管してるの。急所を壊さない限り彼は不死身なんだよ。面白いでしょ?」
「…あいつはイカれてるから、それくらいなんとも思ってないんでしょうね。」
「正解!凹むどころか捌きに磨きがかかっちゃって、王を説得するの大変だったんだよwなんだか焼けるなぁ。君達仲良しなんだね。」
「まさか。虫以下の認識です」
「ぶふ、ルブラン君可哀想~wそんな訳で、ルブラン君みたいな部下が他にもたくさん居て、その子達を賄う為には魔力もたくさん必要な訳なんだぁ」
「王国にとって脅威の存在を、貴方が制御する。王国のリスクが大きい。」
「それだけ僕のこと信用してるんじゃない?w」
「貴方にとってはメリットあるんですか?制御させられてるだけなんじゃ?」
立ち上がり…ミューリウムの隣に座るマジョルカ
「ふふ、僕は自分が楽しめればそれで良いからねぇ。僕の部下達はルブラン君を始め、変な子が多いから、全く飽きないんだよ。たまに面白い玩具を提供してくれるしねっ」
笑顔を向けられて最高に不機嫌になるミューリウム。
「今回の玩具が私ってことなら、丁重にお断りします。」
「ミューリウム君は頭が良いし、僕と近い考え方の研究者だし、可愛いし、食べたいよ?」
「お前の感想なんか聞いてないよ。そろそろ帰ります。」
勢い良く立ち上がったミューリウムの腕を強く掴み、今までにない禍々しいオーラを放ちながら黒い笑顔を向けてくるマジョルカ
「まだ提案の話をしてないよ?」
威嚇しつつも冷や汗が垂れる。
「…ッ、早く言えっ」
舌なめずりをしたかと思えば当初の気の抜けた表情に戻ったマジョルカ
「座って」
ここは従っとくか…
「ふふ、僕ね、そろそろ飽きてきちゃったんだ。部下は僕を楽しませてくれるけど、王はつまらない。別に王に頼らなくても魔力を集める方法なんていくらでもあるし。」
「何が言いたい?」
「あれ?察しが悪いなぁ。」
「ぁ、こらっ!!」
耳を舐めるマジョルカ
「良い匂い…ホント…美味しそう…」
ミューリウムに覆いかぶさるマジョルカ
「ば、ふざけんなっ!話をしろ!」
「赤くなってる…!?」
「うるせー!!」
「ぷぷ、ルブラン君の言ってた通りだぁーww」
「くそ、あいつぶっ殺してやる」
「つまりねぇ、ルブラン君達と一緒にひっくり返しちゃおうかなぁって、世界を。僕色々持て余してるし。」
再び禍々しいオーラを出され、ミューリウムは吐き気をもよおした。
「世界がどうなろうと知ったこっちゃ
「ホント?僕、優しいからミューリウム君は殺さないけど、他のものは全部壊すよ?」
「君の家も、
「君の町も、
「君の使い魔も、
「君のお友達も…
「君が大切にしているもの全部全部壊して、僕だけしか見れないように閉じ込めるよ」
ヤンデレが来た。まさかの展開。超面倒くさい。帰りたい帰りたい帰りたい。
「私にどうしろっていうんだよっ!!」
「たまに僕と遊んで☆」
「…は、」
「ぇ、嫌?それじゃぁやっぱり皆壊し
「まてまて、そんな事でいいのか?もっとなんか、秘境で世界で一つの何かを採ってこいとか、部下にするから急所出せとか、そんなんじゃないのか?」
「僕は君が気に入ったんだよ?危険な目に合わすようなことさせないよぉ。あと、玩具は使い魔にしない主義なんだ。壊れるまでが楽しみだからね」
壊れるまでだと!?
「…今日が初対面なのに、よくそんな風に思えるな。」
「直感☆それにルブラン君イチ押しだからね」
くだらね…
「早速今日は泊まっていってね。明日には返してあげる。」
王め、世界の均衡は君が保つんだって言ってたのは…コレか。
「…嫌だって、言ったら?」

チュ

「ミューリウム、可愛いけどあんまり物分りが悪いと、すぐ壊しちゃうかもしれない」


「みんな横暴だ」